日本CT技術学会雑誌
Online ISSN : 2434-2750
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原著
CT colonography におけるカルシウム抑制画像を用いたelectronic cleansing の特性評価
三澤 慎也望月 純二
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2025 年 13 巻 1 号 p. 10-

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抄録

重要な要点

(1) カルシウム抑制画像 (Calcium-suppressed image : CSI) では,カルシウムなどの高原子番号物質のCT 値が抑制される.

(2) CT colonography において,fecal tagging 製剤として用いられる硫酸バリウムはCSI でCT 値が抑制される.

(3) CSI を用い,残渣のCT 値に応じたSuppression index を調整することで,他の画像処理を用いることなく,electronic cleansing と同様の処理が可能である.


要旨

【目的】大腸CT 検査 (computed tomography colonography : CTC) において,硫酸バリウムでfecal tagging された残渣のelectronic cleansing にカルシウム抑制画像 (calcium-suppressed image : CSI) を使用した場合の画像特性を評価することである.

【方法】(1) 120 kV でCT 値が150 HU,250 HU,350 HU になるように希釈した硫酸バリウム製剤を二層検出器スペクトラルCT にて撮影し,CSI を作成した.CSI において抑制強度を変化させるパラメータであるSuppression index (SI) を25 から100 まで変化させ,CT 値を計測した.(2) CTC の臨床画像29 例にて120 kV 画像およびCSI を作成し,残渣のCT 値を計測した.CSI はWindow width:800 HU,Window level:50 HU 固定での臨床利用を想定とし,残液のCT 値が表示濃淡の変化しない−350 HU 以下となるSI を求め,120 kV のCT 値との関係性を評価した.

【結果】(1) SI が小さくなるほどCSI における硫酸バリウムのCT 値は低下した.また,硫酸バリウムのCT 値が高くなるほどCSI のCT 値は低下し,SI の変化に伴うCT 値の傾きも大きくなった.(2) CSI において残渣のCT 値が−350 HU 以下となるSI は,120 kV における残渣のCT 値が高くなるほど対数関数的に増加した.

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