2025 年 13 巻 1 号 p. 5-
重要な要点
・PIQE Body は,空間分解能,ノイズ特性,SPF,低コントラスト検出能のいずれにおいても従来法を上回る性能を示した.
・PIQE Body は,FBP Body と比べて約 30%の線量低減が可能である.
・PIQE Body は,線量依存性が認められるため,適切な線量設定を考慮した運用が望まれる.
要旨
[目的] 新たに開発された超解像 deep learning 再構成法(PIQE Body)の物理特性を詳細に評価し,従来法(FBP,HIR,MBIR,DLR)と比較することで,その有用性と臨床応用の可能性を検討する.
[方法] Catphan 600ファントムを用いて,CTDIvolを段階的に変化させながら撮影し,それぞれの再構成法についてtask transfer function(TTF),noise power spectrum(NPS),システム性能関数(SPF),および低コントラスト検出能(CNRLO)を測定した.
[結果] PIQE Body は基準線量付近において,TTF,NPS,SPF,CNRLOのいずれでも従来法を上回った.また,SPF とCNRLOの結果から約30%の線量低減が可能と示唆された.一方,過度な線量低減では高周波数成分が損なわれ,空間分解能が低下する可能性が示された.
[結論] PIQE Body は腹部CT 検査において高い画質性能を示しつつ,一定範囲内での被ばく低減に寄与できる可能性がある.ただし,線量依存性が認められるため,適切な線量設定を考慮した運用が望まれる.