日本CT技術学会雑誌
Online ISSN : 2434-2750
Print ISSN : 2434-2769
原著
CT 画像における空間分解能と画像雑音量との関連性の検証
富田 優佐藤 和宏渋谷 塁亀井 拓海中島 広貴髙根 侑美菊池 明泰
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2025 年 13 巻 3 号 p. 6-

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抄録

重要な点

・50% MTF は,画像雑音量の変化を反映する空間分解能指標として使用できる可能性がある.

・MTF のガウス関数による近似曲線の2 次モーメントも画像雑音量の変化を反映する空間分解能指標として使用できる可能性がある.

・空間分解能指標と画像雑音量を累乗近似したとき,累乗近似式の乗数は通常収集より高分解能収集で大きくなった.


要旨

【目的】50% modulation transfer function (以下,MTF50),10% MTF と50% MTF の平均値(以下,MTFave),MTF から直接求めた2 次モーメント(以下,σMTF),MTF をガウス関数で近似して求めた2 次モーメント(以下,σgauss)の4 つの空間分解能指標が10% MTF(以下,MTF10)と相関するのか回帰直線の決定係数を基に検証する.さらに,MTF10を含めた5 つの指標と雑音標準偏差(以下,standard deviation : SD)を累乗近似して決定係数を比較することで,SD の変化を反映する可能性のある空間分解能指標を明らかにする.

【方法】MTF およびSD をCHATPHAN (THE PHANTOM LABOLATRY) により測定した.MTF の測定方法はpoint spread function 法である.スキャン方式はヘリカルスキャン,画像再構成法はフィルタ補正逆投影法,再構成関数は臨床用に搭載されているものすべてを使用した.測定したMTF を基にMTF10,MTF50,MTFave,σMTF,σgaussの5 つの指標を算出した.MTF10と4 種類の指標の直線近似式の決定係数,SD と5 種類の累乗近似式の決定係数を装置ごとに比較した.

【結果】直線近似式の決定係数は,MTF50およびσgauss,σMTFが高い傾向だった.累乗近似式の決定係数は,MTF50およびMTFave,σgaussが高い傾向だった.

【結語】2 つの近似式の決定係数を比較することで,MTF10と相関し,SD の変化を反映する可能性のある空間分解能指標としてMTF50およびσgaussが使用できる可能性が示された.累乗近似式の乗数mは指標によって異なり,MTF50を使用したときm = 2.1~3.1,σgaussを使用したときm = 2.6~3.3 だった.

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