2025 年 13 巻 3 号 p. 11-
重要な要点
・CHD-CT においてSSDE220とSSDE204の差は約2.1%と僅少であり,SSDE204の値が平均的に高かった.
・CHD-CT において心臓部の造影能の変化による影響は限定的であり,SSDE220は造影条件に左右されず安定した線量管理が可能.
・JIS 規格およびDRLs2025 の枠組みに基づき,SSDE204をCHD-CT の線量管理に導入することは現実的.
要旨
本研究では,0〜6 歳までの小児先天性心疾患(congenital heart disease; CHD)に対するcomputed tomography(CT)検査(CHD-CT)における線量管理を目的として,size-specific dose estimates(SSDE)の有用性を臨床画像およびファントムを用いて比較検討した.評価には,患者体格を外部寸法(前後径および左右径)から算出する実効直径に基づくSSDE204と,CT 画像から水等価直径を算出するSSDE220の2 手法を用いた.臨床画像では,各年齢群においてSSDE204の方がSSDE220より高値を示し,両者の誤差は約2.1%と僅少であった.一方,ファントム実験ではSSDE220が過大評価される傾向が確認されたが,CT 値の影響による水等価直径の変動は限定的であった.これらの結果から,JIS T62985の規格に基づき,CHD-CT 検査においてもSSDE の適用が可能であることが示唆された.また,DRLs2025 で新たに小児心臓CT の参照線量が設定されたことを踏まえ,CHD-CT の線量管理にはSSDE の導入が現実的かつ有用であると考えられる.