抄録
ヘプタコサンの回転相における熱容量の温度および時間依存性を,ACカロリメトリーによって調べた。相転移挙動に対する同族体不純物の影響を避けるため,高純度の試料(99.9%)を合成して用いた。0.5K/minでの温度走査では,回転相において0.3sec程度の緩和時間をもった運動が存在することが明らかになった。回転相内で温度を固定すると,熱容量は時間と共に非常にゆっくりと変化した。回転相内で12時間緩和した試料をいったん低温相まで降温し,その後液相まで昇温した。その間の熱容量の温度依存性から,329.9K以上で緩和した後の状態と,329.5K以下で緩和した後の状態とは,互いに異なった状態であり,回転相の温度域には二つの安定相が存在することが明らかになった。これらの実験結果を説明する現象論的モデルの検討も行った。