抄録
珪酸塩鉱物の熱力学的データは,地球のマントルにおける相平衡関係を計算するために不可欠なものである。本研究では,いくつかの珪酸塩鉱物の溶解,転移,及び融解のエンタルピーを測定するための高温熱量測定法を開発した。Mg2SiO4-Fe2SiO4オリビン固溶体の溶解エンタルピーは,ホウ酸鉛溶媒による溶解熱測定法で測定された。その結果は,オリビン固溶体が正の混合エンタルピーを持つことを示した。MgSiO3オルソパイロキシン-ペロブスカイト転移のエンタルピーは,示差落下溶解熱測定法で得られた。CaMgSi2O6ディオプサイドの融解エンタルピーは,DSC法により測定された。これらの熱力学的データは,高圧力,高温下での相平衡境界を計算するためや,マグマの成因を議論するために用いられる。