2014 年 18 巻 1 号 p. 21-24
虚血性心疾患に対する冠動脈再建術の外科的危険因子の一つとして,性差の影響について多くの検討がなされている。しかし,本邦での麻酔管理上での文献的検討はない。そこで,当施設における冠動脈再建術症例 92 例で,周術期管理中の性差について検討してみた。
術前・術中・術後合併症に関しては,統計学的に有意差はなかった。院内死亡症例は 5 例あり,3 例が男性,2 例が女性であった。死亡率にも性差はなかった。しかし,死亡原因として,男性は手術前の胸部大動脈瘤破裂 1 例と感染 2 例,女性では心不全 1 例と不整脈 1 例であった。症例数が少なく,確定的な事は言えないが,女性症例に対しては,個々の全身状態や循環動態の把握に努め,それぞれに応じたより良質な循環管理を心がける必要があると考えた。