Cardiovascular Anesthesia
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症例報告
胸部ステントグラフト内挿術中に発症した Stanford A 型急性大動脈解離による広範な脳虚血の診断にBispectral index が有用であった一症例
斎藤 淳一橋場 英二小野 朋子丹羽 英智木村 太橋本 浩廣田 和美
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2014 年 18 巻 1 号 p. 41-44

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抄録

 64 歳,男性。9 か月前発症の B 型解離性大動脈瘤に対し,胸部ステントグラフト内挿術が施行された。ステント留置直後,急激な徐脈と血圧低下を認め,A 型急性大動脈解離を発症した。約 30 分経過後,急激な Bispectral index(BIS)の上昇を認め,その直後から suppression ratio が増加し,BIS が低下した。血管造影を行ったところ右腕頭動脈と左総頚動脈に解離が認められた。頚動脈へのステント留置と右内頚動脈-左総頚動脈バイパス術を施行後,上行弓部大動脈置換術を施行した。術後 10 時間で集中治療室にて抜管した。意識レベルはグラスゴー昏眠尺度 14 点,右不全麻痺を呈していた。頭部 CT では左基底核に出血性梗塞を認めた。BIS が全身麻酔中の中枢神経系合併症発見に有用なモニターである可能性が示唆された。

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© 2014 一般社団法人 日本心臓血管麻酔学会
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