Cardiovascular Anesthesia
Online ISSN : 1884-7439
Print ISSN : 1342-9132
ISSN-L : 1342-9132
症例報告
閉胸時に初めて発生し,再開胸操作により自然解除されたclosed stuck valve の一例
佐藤 慎国沢 卓之林 大飯田 高史遠山 裕樹岩崎 寛
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 18 巻 1 号 p. 51-54

詳細
抄録

 今回我々は,閉胸時に初めて発生した closed stuck valve を TEE にて診断した症例を経験した。
 70 代,女性。弁輪部石灰化が著明な重度 MR,重度 AS に対し機械弁による二弁置換術が施行された。手術は順調に進み閉胸となったが,胸骨閉鎖直後の TEE にて僧房弁位の前外側の弁葉が閉鎖位で stuck していることが初めて確認された。この時循環動態に大きな変化は見られなかった。再開胸となったが,心膜縫合解除時点で stuck していた弁葉が再び動き出したことが TEE にて確認された。再閉胸時には stuck は起こらなかった。
 弁輪部石灰化が著明な複数弁置換術の周術期には,stuck valve は特に起こりやすい可能性がある。しかし閉胸時には,胸腔内は既に直視できない状況であり,そのモニタリングには TEE が有用であった。

著者関連情報
© 2014 一般社団法人 日本心臓血管麻酔学会
前の記事 次の記事
feedback
Top