Cardiovascular Anesthesia
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総説
米国麻酔科専門医教育システム:ピッツバーグ大学医療センター麻酔科レジデンシーの実際から
酒井 哲郎
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2020 年 24 巻 1 号 p. 17-25

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抄録

 麻酔専門医とは,独力で一般麻酔業務を行い,さらに周術期患者に最善の帰結をもたらす為に他業種医療者に対する麻酔コンサルタントとして機能できる存在である。4年間で麻酔専門医資格を取得するための米国麻酔科研修制度をピッツバーグ大学医療センター(UPMC)を例にとり詳述した。医学生は競争率約60倍のUPMC麻酔科レジデンシープログラムに入るため基礎,実習,国家試験,研究などに取り組む。1年間の初期研修はUPMC麻酔科直轄であり後期麻酔科研修に役立つローテーションを用意している。後期研修1年目の基礎麻酔研修では最初に1カ月間の導入研修を行う。2年目は心臓外科麻酔を含む10の専門科麻酔を月別に集中的に学ばせる。3年目は半年間の選択研修で研究など多種の教育機会を与える。過半数の卒業生はさらに1年間,心臓麻酔を含めた6つの認定フェローシップに進む。医局制度は存在しないため就職先は個人で見つける。2019年での米国麻酔専門医の年収中央値は約$380,000であるが,単年契約が基本であり,大学勤務の場合には契約更新のため毎年勤務評定が行われる。

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© 2020 一般社団法人 日本心臓血管麻酔学会
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