Cardiovascular Anesthesia
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症例報告
術中経食道心臓超音波検査にて開心術を回避できた,術前に巨大右房内疣贅を伴っていた感染性心内膜炎MELAS患者症例
武智 大和木下 真央 須藤 和樹小原 潤也井上 敬太佐和 貞治
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2023 年 27 巻 1 号 p. 61-65

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抄録

 Mitochondrial myopathy, encephalopathy, lactic acidosis, and stroke-like episodes (MELAS)は脳卒中症状を特徴とし,多様な臓器症状を合併するミトコンドリア病であり,周術期管理は注意が必要である。全身麻酔導入後に経食道心臓超音波検査(transesophageal echocardiography:TEE)によって右房内疣贅の消失を確認し,開心術を未然に回避した症例を報告する。症例はMELASを既往に持つ38歳の女性,植込み型ペースメーカー留置中で発熱があり,血液培養検査においてグラム陽性桿菌が検出された。術前TEEにおいて右房内の巨大疣贅を認めた。循環状態は安定していたため,9日後に開心術の予定とした。全身麻酔導入後のTEEで,術前に認めた右房の巨大疣贅の消失を認めた。麻酔科,心臓血管外科,循環器内科と協議し,疣贅による肺血栓塞栓症を疑った。手術室から退室し,胸部造影CT検査で右肺動脈幹の肺塞栓を認め,経カテーテル的に疣贅を摘出した。全身麻酔導入後にMELAS患者の右房内疣贅消失を確認し,未然に開心術を回避できた。

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© 2023 一般社団法人 日本心臓血管麻酔学会
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