比較眼科研究
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原著
有色ラット網膜の加齢性変化
今若 実穂今井 良悦杉本 眞次渡辺 武志西条 武俊
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1997 年 16 巻 1-2 号 p. 1-2_11-1-2_14

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抄録

有色ラット網膜の加齢性変化を5ヵ月齢および28ヵ月齢の雄性Long-Evansラットを用いて機能的および病理組織学的に調べた。

眼底観察において5ヵ月齢ラットでは変化は認められなかったが、28ヵ月齢ラットでは眼底の色調の変化が認められ、角膜およびレンズの混濁が散見された。5ヵ月齢ラットに比較して、28ヵ月齢ラットはElectroretinogram (ERG) a、b波の振幅が共に有意に小さく、b波の潜時の延長もみられた。病理組織学的検査では、28ヵ月齢でレンズの変性および角膜の炎症が散見された。また、網膜内・外顆粒層の厚さ(核の数)は5ヵ月齢と比較して、28ヵ月齢では有意に減少していた。

以上のことから、有色ラットにおいても軽度ではあるが、加齢により視細胞が減少し、視機能が抑制されていることが明らかとなった。

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© 1997 Japanese Society of Comparative and Veterinary Ophthalmology
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