有色ラット網膜の加齢性変化を5ヵ月齢および28ヵ月齢の雄性Long-Evansラットを用いて機能的および病理組織学的に調べた。
眼底観察において5ヵ月齢ラットでは変化は認められなかったが、28ヵ月齢ラットでは眼底の色調の変化が認められ、角膜およびレンズの混濁が散見された。5ヵ月齢ラットに比較して、28ヵ月齢ラットはElectroretinogram (ERG) a、b波の振幅が共に有意に小さく、b波の潜時の延長もみられた。病理組織学的検査では、28ヵ月齢でレンズの変性および角膜の炎症が散見された。また、網膜内・外顆粒層の厚さ(核の数)は5ヵ月齢と比較して、28ヵ月齢では有意に減少していた。
以上のことから、有色ラットにおいても軽度ではあるが、加齢により視細胞が減少し、視機能が抑制されていることが明らかとなった。