比較眼科研究
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16 巻, 1-2 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
原著
  • 渋谷 一元, 佐藤 一雄, 藤井 哲夫, 布谷 鉄夫, 田島 正典
    1997 年 16 巻 1-2 号 p. 1-2_1-1-2_10
    発行日: 1997年
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル フリー

    当所で実施された毒性試験に用いられた2,382匹の雄および2,370匹の雌Crj: CD (SD) (CD)ラット、1,032匹の雄および1,062匹の雌Slc: Wistar (Wistar)ラットならびに1,146匹の雄および1,132匹の雌F344/DuCrj (F344)ラットにおける自然発生眼病変を調査し、系統間の眼病変の特性を比較した。眼病変の発生率は、CDラットの雄2.35%、雌1.14%、Wistarラットの雄6.40%、雌4.33%、F344ラットの雄4.36%、雌3.71%であった。3系統間の病変発生率の比較では、Wistarラットの前眼部および中間透光体病変およびF344ラットの後眼部病変の発生率が、他の系統に比較して高かった。3系統のラットの網膜萎縮の発生率は加齢にともない増加する傾向がみられた。

  • 今若 実穂, 今井 良悦, 杉本 眞次, 渡辺 武志, 西条 武俊
    1997 年 16 巻 1-2 号 p. 1-2_11-1-2_14
    発行日: 1997年
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル フリー

    有色ラット網膜の加齢性変化を5ヵ月齢および28ヵ月齢の雄性Long-Evansラットを用いて機能的および病理組織学的に調べた。

    眼底観察において5ヵ月齢ラットでは変化は認められなかったが、28ヵ月齢ラットでは眼底の色調の変化が認められ、角膜およびレンズの混濁が散見された。5ヵ月齢ラットに比較して、28ヵ月齢ラットはElectroretinogram (ERG) a、b波の振幅が共に有意に小さく、b波の潜時の延長もみられた。病理組織学的検査では、28ヵ月齢でレンズの変性および角膜の炎症が散見された。また、網膜内・外顆粒層の厚さ(核の数)は5ヵ月齢と比較して、28ヵ月齢では有意に減少していた。

    以上のことから、有色ラットにおいても軽度ではあるが、加齢により視細胞が減少し、視機能が抑制されていることが明らかとなった。

  • 日高 正泰, 池田 孝則, 藤掛 登, 久野 博司
    1997 年 16 巻 1-2 号 p. 1-2_15-1-2_19
    発行日: 1997年
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル フリー

    ウサギを用いて簡便に角膜上皮を剥離する方法を考案し、塩化ベンザルコニウムによる角膜損傷の修復に及ぼす影響を検討することにより本モデルの有用性について検討した。ケタミン、キシラジンの混合全身麻酔下に、塩酸オキシブプロカインで角膜表面を局所麻酔した。角膜中央に直径5.5mmのトレパンを深さ50μmに設定して円形の切創を施した。フルオレセイン染色して切創部位を確認しながら鋭利なピンセットと湿潤させた綿棒を用いて、円創の内側の角膜上皮を剥離した。再度フルオレセイン染色を行い、術部が完全に剥離されたことを確認した。

    角膜上皮剥離直後から経時的に損傷部位をフルオレセイン染色し、その大きさを観察した。フルオレセイン染色部位は経時的に縮小し、損傷作製から72時間後にはフルオレセインにより染色されなくなったことから、損傷部位は治癒したと判断した。

    塩化ベンザルコニウムは、0.015%、0.050%の濃度で、また対照として生理食塩水を1日3回、3時間間隔で2日間、合計6回点眼した。1日2回(1回目、3回目の点眼前)フルオレセイン染色を施し、損傷部位の面積の経時変化のグラフから台形法により反応時間曲線下面積(AUC)を計算し、群間で比較した(n=5)。

    損傷部位は損傷後72時間までに消失した。損傷直後から72時間後までのAUCは0.050%点眼群で対照群に比較して有意に大きく、塩化ベンザルコニウム点眼により治癒過程の遅延が認められた。

    本方法は、均一な角膜上皮剥離モデルを簡便に作製することができ、更に塩化ベンザルコニウムの点眼の影響を検出可能であったことから、点眼薬の角膜修復に及ぼす影響を評価する上でも有用と考えられた。

短報
症例報告
  • 鈴木 通弘, 小野 文子, 長 文昭, 吉川 泰弘
    1997 年 16 巻 1-2 号 p. 1-2_27-1-2_30
    発行日: 1997年
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル フリー

    育成カニクイザルにおいて慢性腎性網膜症が認められた症例について、その病変の発生前から発生後にわたる普通眼底像の変化と、発生後のフルオレセイン蛍光眼底造影像(FAG)、インドシアニングリーン蛍光眼底造影像(ICG)、網膜活動電位(ERG)等の検討を行った。普通眼底撮影では、左右眼底全体に綿花様白斑、眼底出血、中心窩の周りに放射状に硬性白斑、網膜動脈の狭細化が観察された。FAGでは、綿花様白斑部位に一致して蛍光色素の漏出、眼底出血部位に一致して低蛍光が観察された。ICGでは、FAGで観察された蛍光色素の漏出部位の一部に一致して色素漏出が観察された。ERGでは錐体系および杆体系反応ともに正常範囲内であった。

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