比較眼科研究
Online ISSN : 2185-8446
Print ISSN : 0286-7486
ISSN-L : 0286-7486
原短報
有色ウサギにおける網膜血管の樹脂鋳型標本による微細構造の検索
谷本 憲昭中川 洋子竹川 晃司三百田 匡板垣 充恵久世 博堀 正樹
著者情報
ジャーナル フリー

1998 年 17 巻 1-2 号 p. 1-2_35-1-2_39

詳細
抄録

網膜血管の変化を捉える上で血管鋳型標本を作製する方法は眼底観察よりも、より微細な部位まで三次元的に観察することができる点で優れている7)。血管鋳型標本による網膜血管の微細構造の検索はラット3、6)、サル1、12)、イヌ4)では多くの報告が見られるが、ウサギでの報告は少なく9、11)有色ウサギでは見当たらない。今回、有色ウサギ(Kbl/Dutch)の網膜血管の微細構築を明瞭にするため、通常および蛍光眼底撮影を実施すると同時に、血管内樹脂注入による網膜血管鋳型標本を作製し三次元的に網膜血管構築を観察したので報告する。通常眼底像では、網膜血管走行は、視神経乳頭部より内側、外側への二方向へ枝を伸ばす独特の形態を示した。血管鋳型標本は、ウサギに特徴的な翼状に限局した血管走行を写し取っていた。網膜動脈は中心動脈から供給され、内側及び外側方向に各1本ずつ走行していた。細動脈枝は樹形状に分岐しており、網膜神経線維層に向けて多数の毛細血管を供給していた。毛細血管は樹形状の先端部では鋭角なループを描き細静脈へと流入していた。細静脈枝は内側、外側各1本の網膜静脈に集合し、視神経乳頭部に向い走行していた。

著者関連情報
© 1998 Japanese Society of Comparative and Veterinary Ophthalmology
前の記事 次の記事
feedback
Top