2002 年 21 巻 3-4 号 p. 143-147
視神経起始部における異所性網膜が、病理組織学的にCrj: CD (SD) IGSラットの雄80例中19例(23.8%)及び雌80例中21例(26.3%)に観察された。これらの罹患した眼球には眼科学的に視神経乳頭の異常は認められなかった。病理組織学的に異所性網膜組織は視細胞の不規則な集簇巣あるいは杆錐体層、外顆粒層、外網状層及び内顆粒層を含む組織断片から成っていた。本病変の発生に週齢あるいは性別による相違はみられなかった。加えて病変部に変性性あるいは炎症性変化はなかった。これらの結果から、Crj: CD (SD) IGSラットにおける視神経起始部における異所性網膜形成は眼杯の内板の過剰増殖といった先天的発生機序により生じたものと考えられた。