比較眼科研究
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症例報告
Crl:CD(SD)ラットにみられた眼球内黒色腫の1例
小川 竜也満元 達也小澤 直幸小松 真彦八幡 めぐみ枝元 洋西村 信雄岡崎 修三
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キーワード: ラット, 悪性黒色腫, 眼球
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2013 年 32 巻 p. 49-54

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抄録

ラットにおける眼球の腫瘍として、角膜に発生する類上皮腫、角膜・強膜あるいは眼瞼に発生する扁平上皮由来の腫瘍などが知られているが、眼球内組織に由来する腫瘍の発生は希であり、黒色腫も極めて希な腫瘍である。今回、SDラットの眼球に自然発生性の悪性黒色腫がみられたので報告する。本症例では、88週齢の時点で右眼球の虹彩に腫瘤が肉眼的に発見された。以降、腫瘤塊の大型化とともに、眼球の突出・角膜全体の痂皮形成などの経過をたどり、計画剖検の1週前(109週齡)には角膜の脱落により腫瘤塊が露出した。ヘマトキシリン・エオジン染色標本では、眼球全体が腫瘍細胞で満たされ、紡錘形から類円形の核と好酸性の細胞質を有する腫瘍細胞が渦巻き状に配列していた。異型性の強い腫瘍細胞や有糸分裂像も散見された。腫瘍細胞内には時折褐色の顆粒が認められ、フォンタナ・マッソン染色でメラニン色素が確認されたことから、melanotic melanoma(恐らく虹彩または毛様体原発)と診断した。なお、他臓器への遠隔転移は認められなかった。

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© 2013 Japanese Society of Comparative and Veterinary Ophthalmology
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