比較眼科研究
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短報
培養角膜片の初代培養を用いたプロスタグランジンF2α誘導体点眼薬の角膜毒性評価
髙橋 広樹田島 一樹服部 貴明伊藤 典彦後藤 浩
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2022 年 41 巻 p. 3-7

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抄録

我々は新鮮豚角膜の組織片を初代培養し、組織片から規則的に広がる上皮細胞の伸展面積を用いて角膜上皮に対する毒性を、高感度、かつ簡便に検出する新規角膜毒性試験を開発し、過去に報告した。本試験系の市販点眼薬における有用性を評価するために、プロスタグランジン(PG)F2 α誘導体点眼薬である0.02%塩化ベンザルコニウム (BAK) 含有0.005%ラタノプロスト点眼液、0.005%BAK含有0.03%ビマトプロスト点眼液、0.001%BAK含有0.0015%タフルプロスト点眼液、BAKを含まない0.004%トラボプロスト点眼液の角膜上皮毒性を評価した。細胞伸展率は0.004%トラボプロスト点眼液で70.6 ± 23.0%、0.0015%タフルプロスト点眼液で59.3 ± 7.5%、0.03%ビマトプロスト点眼液で44.0 ± 7.6%、0.005%ラタノプロスト点眼液で27.5 ± 10.0%であり、対照と比較しすべてのPGF2 α誘導体点眼薬において有意に細胞伸展率が抑制された。培養角膜片を用いた本角膜毒性試験モデルは、市販PGF2 α誘導体点眼薬の角膜上皮毒性を高感度に検出することができる試験系であり、他の市販点眼薬の角膜上皮毒性の検出にも応用できる可能性が示唆された。

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