光の透過率の異なる面を着用した観察者の眼に対する,カニクイザルの凝視反応を利用する視覚判定のための簡単な方法を考案した。本法を,眼底の正常な個体および黄斑変性所見を示す個体に適用の結果,後者の視覚機能は,前者のそれに比べ明らかに劣っていると判定された。さらに,黄斑変性の程度に応じた視覚機能の差も認められた。
我々はこれまでにカニクイザルの眼科学的検査法のひとつとして眼底検査を取り上げ,加齢に伴う標準像の変化や自然発生の異常像について報告してきた9-15)。ここでは,光の透過率の異なる面を着用した人の眼に対するカニクイザルの凝視反応を利用する視覚機能判定のための簡単な方法と16),この方法を使用し,黄斑変性所見を示す個体の視覚機能を調査した成績を紹介する。