デジタルアーカイブ学会誌
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口頭発表
[34] 著作権法50周年に諸外国の改正動向について考える
城所 岩生
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2020 年 4 巻 s1 号 p. s41-s44

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抄録

今年は現行著作権法制定50周年にあたる。50年間の著作権法を取り巻く最大の環境変化はデジタル化の進展だが、欧米ではデジタルアーカイブ化が着実に進んでいる。2004年、グーグルは出版社や図書館から提供してもらった書籍をデジタル化して検索可能にする電子図書館構想を発表。欧州は05年に各国の文化遺産をオンラインで提供する欧州デジタル図書館計画、ヨーロピアーナを立ち上げた。法制面でも孤児著作物を利用しやすくするため、08年に孤児著作物指令、19年にはデジタル単一市場における著作権指令を制定。後者では拡大集中許諾制度(ECL)を導入した。米国でもECL導入の動きはあったが、グーグルの電子図書館に対する訴訟でフェアユースが認められたため不要とする意見が多く見送られた。孤児著作物対策に積極的に取り組む韓国では、ECLの導入を含む著作権法の全面改正の検討が始まっている。諸外国に比べると牛歩の観が否めない日本の対応策を模索する。

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https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/deed.ja
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