デジタルアーカイブ学会誌
Online ISSN : 2432-9770
Print ISSN : 2432-9762
4 巻, s1 号
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第5回研究大会予稿
口頭発表
  • 坂部 裕美子
    2020 年 4 巻 s1 号 p. s1-s4
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/09
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    J-STAGE Data

    一年中落語を上演している寄席定席の番組(出演者一覧)データを集計用に整備すると、演者ごとの年間登場回数や、「初席出演者は年間登場回数が多い傾向がある」など、様々な要素との関連分析が可能になる、さらに、過去の番組データを使うと、観客が漠然と感じているような落語家の世代交代の発現も、数値で明示できる。寄席定席の最新の番組情報はHPで公開されておりデジタルデータの入手が容易だが、過去の番組のデジタルデータの公開には、個人情報の問題や公開コストの負担面で様々な障壁があり、一般公開には至っていない。また、「年間登場回数ランキング」のようなデータ集計自体が当事者にはあまり好意的に受け止められない、という事実も、障壁の一つと言える。事務局にはこれら以外にも各種の貴重な資料が保存されており、これらが散逸してしまう前に活用の道が開かれることを期待している。

  • 佐藤 洋一
    2020 年 4 巻 s1 号 p. s5-s8
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/09
    ジャーナル オープンアクセス

    本稿で焦点を当てるのは、デジタルアーカイブコレクションの存在を機に2016年6月に発生し、現在まで活動を続けているインディペンデントで自発的なゆるやかな調査体の様態である。デジタル化された米国所蔵のアーカイブ写真を通じて知り合った人々が、SNS上のコミュニケーションをもとに連携し、撮影地の同定調査を軸にした活動過程を記述する。主体となった人々の関心と動機、活動の範囲、成果の範囲を確認しながら、この種の方法による可能性を考えたい。

  • 奥野 拓
    2020 年 4 巻 s1 号 p. s9-s12
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/09
    ジャーナル オープンアクセス
    J-STAGE Data

    道南地域の文化財の情報を蓄積・公開し、オープンデータ化により活用することを目指して、道南ブロック博物館施設等連絡協議会と公立はこだて未来大学の連携により、ウェブサイト「南北海道の文化財」を2017年度より開設している。本発表では、最初に、本取り組みの背景と、オープンデータ化による文化財情報の活用を含めた全体構想について述べる。その後、構築したウェブサイトの概要と、3年間の運用におけるアクセスの傾向について述べる。本取り組みでは、蓄積された文化財情報を観光・教育などの分野において活用することを目指し、検証を目的としたアプリケーションを構築している。本発表では、テーマの自動生成による文化財巡りルートマップアプリケーション、地域教材作成支援を目的とした地域史アーカイブ横断曖昧検索アプリケーションについて述べる。

  • 皆川 雅章
    2020 年 4 巻 s1 号 p. s13-s16
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/09
    ジャーナル オープンアクセス

    北海道の面積は,千葉,茨城,神奈川などを含めた12の県の合計よりも大きく,そのような広い地域に179の市町村が点在している。この地で現在の北海道の礎を築いたのは,いまよりもはるかに厳しい自然を乗り越えて原生林を切り拓いた明治初期の屯田兵と呼ばれる人々を含む開拓者たちであり,これらの開拓者たちの苦闘の痕跡や生活の様子は各地に残っている。著者は,デジタルアーカイブ化を目的として北海道の郷土資料を撮影し,デジタルデータの蓄積を行っている。本報告では,蓄積したデータをもとに,民具の分布状況をマップ化し,北海道における,かつての生活の様子を地理的に横断して眺めることを目的としたデータ可視化の結果を示す。

  • 菊池 信彦, 内田 慶市, 岡田 忠克, 林 武文, 藤田 高夫, 二ノ宮 聡, 宮川 創
    2020 年 4 巻 s1 号 p. s17-s20
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/09
    ジャーナル オープンアクセス

    関西大学アジア・オープン・リサーチセンター(KU-ORCAS)は、2020年4月に、「コロナアーカイブ@関西大学」の運用を開始した。コロナアーカイブ@関西大学は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行下における関西大学関係者の日常の記録や記憶を、ユーザからの投稿によって収集するコミュニティアーカイブプロジェクトである。KU-ORCASでは、コロナアーカイブ@関西大学を、昨今の歴史学の一つの潮流ともなっているパブリックヒストリーの実践として位置づけることで、収集の結果として蓄積されるアーカイブ資料だけでなく、アーカイブするという行為そのものも重視している。本報告では、コロナアーカイブ@関西大学のデジタルアーカイブシステムの構築とともに、資料収集の現状、そしてデジタルパブリックヒストリーとしての実践について、今後の展望を交えて報告する。

  • 山口 学
    2020 年 4 巻 s1 号 p. s21-s22
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/09
    ジャーナル オープンアクセス
    J-STAGE Data

    2017年の地方新聞社に対するデジタル化情報の調査の分析報告によると、多額の予算をかけてデジタルデータ化を進めたとしても、利用者をどの程度確保できるかの見通しがつかないため、採算性の確保が地方新聞社にとって重い課題となっている。またデータの公開や保存、維持については、メタデータの付与やシステム構築の問題がある。インドは英語とヒンデイー語の公用語のほか、22の指定言語がある多言語・多民族国家であり、新聞は中国に次ぎ世界第二の規模を持つ。インドの図書館や公共機関ではGreenstone,Dspaceなどのオープンソースソフトを使用した低コストの新聞デジタルアーカイブの開発が行われている。本稿ではインドのシステムを概観し、こうしたシステムが地方紙のデジタルアーカイブシステム開発に適用可能か考える。地域資料の収集主体である公共図書館の地方紙のデジタルアーカイブ開発の貢献可能性についてもインドと比較し考察する。

  • 三浦 伸也, 千葉 洋平, 佐野 浩彬, 前田 佐知子, 池田 千春, 田中 亜紀子, 高橋 美佐, 半田 信之, 臼田 裕一郎
    2020 年 4 巻 s1 号 p. s23-s26
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/09
    ジャーナル オープンアクセス
    J-STAGE Data

    新型コロナウィルス感染症(COVID-19)下では密閉空間・密集場所・密接場面の3つの密を避けることが推奨されている。発表者らは出水期や風水害等に向けて、都道府県や市区町村といった自治体が COVID-19下において、内閣府防災等が提示した通達をどのように活かし、自然災害への備えを行っているかを網羅的かつ俯瞰的に把握するため、日本全国の都道府県および自治体のWebサイトを検索し、COVID-19下における「避難」もしくは「避難所」等に関する情報(以下、「COVID-19×災害時避難に関する情報」)の発信を行っている事例を網羅的に収集した。

    この情報収集の過程で、ツイッター、ネットニュース、新聞などのメディアが情報収集をどのように促進し、情報を「集める」から情報が「集まる」兆しを感じさせたのか。情報収集、ひいてはアーカイブ構築と本来の目的以外のメディアでの情報発信などをどのように捉え、メディアと協働し、アーカイブを構築していくのが望ましいのかについて議論したい。

  • 水島 久光, 椋本 輔, 上松 大輝
    2020 年 4 巻 s1 号 p. s27-s30
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/09
    ジャーナル オープンアクセス
    J-STAGE Data

    東海大学水島研究室は10年以上に亘り、コミュニティアーカイブの構築と連携をテーマに草の根の活動情報を収集し、時には実践者と共同で上映や研究会、ワークショップ、フィールドワークなどを行ってきた(原田・水島,2018)。こうした研究を通じて入手・蓄積または寄託された資料群の保全・管理という課題には、権利、物性、その他活動に即した困難さがある。しかしそれらにはオリジナル資料の喪失あるいは損傷をうけたときのバックアップ機能(ダークアーカイブ)や、アクセスの道を開くための目録的側面もあり、コミュニティアーカイブ構築と連携のボトムアップ的性格を定義づける積極的意味が見出せる。今回、研究室の環境整備の機会を捉え、その課題を基礎づけるメタデータスキーマの策定を行った。それはダブリン・コア15項目中のContributor(寄与者)の概念の振舞いに注目した体系化の試みであり、メタデータスキーマを巡る議論を再考し、データマネジメントの実践課題に対しても新たな提案となるものと考える。

  • 北村 美和子
    2020 年 4 巻 s1 号 p. s31-s32
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/09
    ジャーナル オープンアクセス

    2020年発生したウイルスCovid-19の影響のため多くの災害メモリアルイベントの自粛要請が行われた。震災から9年経た2020年岩手県大船渡では震災を伝えるための語り継ぎイベントが初めて岩手県で開催される予定であった。しかしこのイベントもパンデミックを抑えるために観客無しで行うことになった。このような緊急時のイベント開催であった。語り継ぎイベントを主宰した東北大学災害科学国際研究所(IRIDeS)では「みちのく震録伝」の活動により災害情報のデジタル化や震災イベントの動画中継などを行なっていた。このため、今回のパンデミックによる緊急事態への備えも充分にできていた。本研究では災害アーカイブのデジタル化による有効な活用方法や記録継続の必要性や無観客イベントのストリーミングの重要性について述べる。

  • 原 翔子
    2020 年 4 巻 s1 号 p. s33-s36
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/09
    ジャーナル オープンアクセス

    近年ではデジタルアーカイブの拡充によって世界中の博物館や美術館がオンラインでコレクションを展示するようになった。そこで,博物館における展覧会と鑑賞者との間には、物理的な空間における鑑賞だけでなくオンライン展示の利用という場面においても相互作用があるべきだとされている。オンライン展示が抱える現状の問題点は、個人へのパーソナライズと鑑賞前後体験の補助という場面から認識することができる。特に前者について、高木(2019)によるデフレーミング戦略は親和性が高く、経済学の概念でありながら展覧会への応用可能性が大きい。本稿ではデフレーミングを援用し、オンライン展示に留まらない展覧会デザインを提案する。

  • 東 修作
    2020 年 4 巻 s1 号 p. s37-s40
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/09
    ジャーナル オープンアクセス
    J-STAGE Data

    博物館や美術館等のいわゆるGLAM機関が所蔵する作品のデジタルコピーを公開するオープンアクセスの動きが国内外で広がりつつある一方で、国内におけるその利用は進展しているとは言い難い状況である。その理由のひとつにはスムーズに利用するための法的、技術的な手順等が分かりづらいことが挙げられる。

    本稿では、コミュニティによるオープンなメディアファイルの集積データベースであるウィキメディア・コモンズにおける、GLAM機関のオープンアクセス画像に関する法的な取り扱い基準の例と、活用推進のための構造化データベース構築の取り組みについて紹介する。

  • 城所 岩生
    2020 年 4 巻 s1 号 p. s41-s44
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/09
    ジャーナル オープンアクセス
    J-STAGE Data

    今年は現行著作権法制定50周年にあたる。50年間の著作権法を取り巻く最大の環境変化はデジタル化の進展だが、欧米ではデジタルアーカイブ化が着実に進んでいる。2004年、グーグルは出版社や図書館から提供してもらった書籍をデジタル化して検索可能にする電子図書館構想を発表。欧州は05年に各国の文化遺産をオンラインで提供する欧州デジタル図書館計画、ヨーロピアーナを立ち上げた。法制面でも孤児著作物を利用しやすくするため、08年に孤児著作物指令、19年にはデジタル単一市場における著作権指令を制定。後者では拡大集中許諾制度(ECL)を導入した。米国でもECL導入の動きはあったが、グーグルの電子図書館に対する訴訟でフェアユースが認められたため不要とする意見が多く見送られた。孤児著作物対策に積極的に取り組む韓国では、ECLの導入を含む著作権法の全面改正の検討が始まっている。諸外国に比べると牛歩の観が否めない日本の対応策を模索する。

  • 呉宮 百合香, 溝端 俊夫, 及川 英貴, 松尾 邦彦
    2020 年 4 巻 s1 号 p. s45-s48
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/09
    ジャーナル オープンアクセス
    J-STAGE Data

    NPO法人ダンスアーカイヴ構想は、舞踏家大野一雄と大野慶人が創設した大野一雄舞踏研究所のアーカイヴ活動を引き継ぐために2016年に設立された。日本独自のダンス形式として海外で高く評価されている舞踏(Butoh)を中心に、広く日本洋舞史の資料を収集保存し、積極的な公開と活用を通じてダンスアーカイヴの社会的認知向上に取り組んでいる。また、公的機関に対するアーカイヴ設立の提言と並行して、現存するアーカイヴ間のネットワーク構築に取り組み、上演と同時に消失する舞踊芸術におけるアーカイヴのあり方を共に模索することを目指している。

    本発表では、今秋に試験版を公開する大野一雄デジタルアーカイヴを例に、ボトムアップ型の横断的アーカイヴ構築の提言を行う。

  • 金山 智子, 小林 孝浩, 伏田 昌弘, 津坂 真有
    2020 年 4 巻 s1 号 p. s49-s52
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/09
    ジャーナル オープンアクセス

    近年、渋谷や新宿、六本木など都心では夏のイベントとして盆踊りが開催され、若者たちに人気を博している。また各地の盆踊りを行脚する者もおり、岐阜県郡上市の郡上おどりのように全国から若者たちが集まる盆踊りもある。盆踊りがイベントとして盛り上がる一方、地元スタッフの高齢化や若者の参加者の減少など、多くの地域では盆踊り大会が縮小傾向にある。このような状況下、本来、盂蘭盆に精霊を迎え送る風習から生まれた伝統芸能としての盆踊りをいかに次世代へと継承していくのかが一つの課題となっている。本研究では、岐阜県本巣市旧根尾村の各集落にて毎年盆に拝殿で行われる盆踊りを映像撮影し、これをもとにアバターを用いた3Dのバーチャルな盆踊りを制作、ネット配信を試みる。YouTube世代の子どもや若者に向け、また、新型コロナウィルス感染防止で人が集まることが難しい状況下、自宅で楽しみながら盆踊りを学ぶことの可能性について考察し、報告する。

  • 江添 誠, 豊田 浩志
    2020 年 4 巻 s1 号 p. s53-s56
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/09
    ジャーナル オープンアクセス
    J-STAGE Data

    本研究は、2017年より上智大学豊田浩志名誉教授を研究代表者とする科学研究費助成事業(基盤研究(B))(研究課題名「先端光学機器によるオスティア・アンティカ遺跡・遺物の文字情報調査」、課題番号17H02410)の助成を受けて、研究分担者として発表者がオスティア・アンティカ遺跡博物館で取り組んできた展示彫像群の3次元デジタルモデル生成プロジェクトを実例として、研究データや展示資料としての3次元デジタルモデルの有用性を検討するとともに、それらをアーカイブ化して活用する方法を、大英博物館など海外の事例などを比較しつつ考察してみたい。

  • 林 知代, 梶原 麻世
    2020 年 4 巻 s1 号 p. s57-s60
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/09
    ジャーナル オープンアクセス

    本稿では、書作品の鑑賞における展示会の意義をアンケート調査により明らかにし、360度パノラマ画像による展示会のデジタルアーカイブ化による書道鑑賞の充実を試みた。

    書道を学ぶ学生へのアンケート調査の結果、書作品の鑑賞は書道展が重要な役割を果たしており、書作品の雰囲気、構成、書き振りが感じられるデジタルアーカイブが必要であることが明らかになった。360度パノラマ画像の記録し、VRコンテンツを制作し、検証したとこと、展示会の雰囲気を味合うことはできたが、作品の雰囲気を味合までには達することができなかった。詳細なデータ記録をすることで、VR技術を用いた書作品の鑑賞を現実的なものとすることができると考える。

  • 田中 美苗, 河合 直樹, 近藤 孝夫
    2020 年 4 巻 s1 号 p. s61-s64
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/09
    ジャーナル オープンアクセス

    360°ビューモーフィングは、ひとつの空間の中の2地点で撮影したパノラマ写真を合成してVR空間を生成する技術である。この技術では、2つの撮影地点間をウォークスルーするように移動したり、任意の地点で立ち止まって周囲を見回したりするような没入感の高い体験がWebブラウザ上で可能である。パノラマ写真2枚から生成可能なため、制作負荷が低く、手軽に空間をアーカイブすることができる。本発表では、この技術の概要と歴史的建造物や展覧会での使用事例を紹介すると共に空間アーカイブの意義と課題についても触れる。

  • 井上 ゆかり, 花田 昌宣, 矢野 治世美, 田尻 雅美
    2020 年 4 巻 s1 号 p. s65-s68
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/09
    ジャーナル オープンアクセス

    いまだ水俣病をめぐる差別事件があとをたたず、水俣病を中心に据えた地域づくりを模索している熊本県において、学校や一般社会における公害教育は必要不可欠である。水俣病公式確認から64年が経過するなかで、「公害水俣病」に対して多角的視点から取り組める人材が求められている。そこで本研究では、熊本学園大学学生、小中学校教員、市民を対象として、独自に制作した「水俣学アーカイブ」という集積されたデータを活用し、公害教育のモデル化を行い、多様な分野の知識や考え方を持ち合わせた人材を育成し、最終的には公害教育のプラットフォームを形成することで、水俣病事件を理論的・実践的に研究する社会基盤を構築することを目的としている。このことを通して、人類が初めて経験した水俣の知的資源を世界に解放する素地を形成する。ここでは、水俣学独自のアーカイブの進捗過程と課題、これを環境教育に利活用する試案を報告する。

  • 大井 将生, 渡邉 英徳
    2020 年 4 巻 s1 号 p. s69-s72
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/09
    ジャーナル オープンアクセス

    本稿の目的は、初等中等教育におけるデジタルアーカイブを活用したハイブリッド型学習のあり方を提示することである。そのために、遠隔オンライン授業をめぐる社会的背景とこれまでの動向を整理し、遠隔オンライン授業の課題について議論する。本研究ではその課題を解決するための学習デザインとして、デジタルアーカイブを活用した遠隔オンデマンド型授業と対面授業の組み合わせによる、探究的キュレーション授業を提案する。デザインした授業で2020年4月より小学校と中学校で年度を通して授業実践を行い、児童生徒の認識変容を検証する。この手法により、学習指導要領で掲げられたICT・MLA資料の活用や探究的な学びを実現するとともに、休校という社会的要請が生じる感染症や災害等の不測の事態、地方と都市の教育格差、不登校による学習機会の喪失など、社会的諸課題の解決にも寄与することができると考える。

  • 永崎 研宣
    2020 年 4 巻 s1 号 p. s73-s76
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/09
    ジャーナル オープンアクセス

    デジタルアーカイブのコンテンツに非常に多く含まれる前近代の日本語文字資料は、全文テキスト検索によって有用性を高めることができる。Web APIを経由することで「みんなで翻刻」の外部に構築された全文検索システムである「みんなで翻刻サーチ」は、その種の全文テキスト検索において生じる課題に取り組み、現時点で比較的容易に実現可能な解決方法を採用した。本発表ではそれについて検討している。

  • 齊藤 有里加, 堀井 洋, 堀井 美里, 小川 歩美
    2020 年 4 巻 s1 号 p. s77-s79
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/09
    ジャーナル オープンアクセス

    東京農工大学科学博物館は大学所縁の学術コレクションを収集・保存を行なっている。このような教育・研究機関が内包する「学術資料」は、組織統合などの変遷により資料が埋没化しやすい。特に蚕糸科学領域は、自然科学資料でありながら人文学科学側面を持つ領域横断的な特殊性を持っており、資料の可視化により多分野での研究進展が期待される。一方で2020年夏季に本公開となる「ジャパンサーチ」は人文科学、自然科学領域を超えた横断型検索による資料発信手法を提案するものである。本発表では、所蔵の蚕糸学術コレクション群のうち、錦絵資料「蚕織錦絵コレクション」を対象に、ジャパンサーチへの公開プロセスを紹介すると共に、進行上明らかになった学術資料の可視化の上での課題と対応を例示する。

  • 福林 靖博, 奥田 倫子, 中川 紗央里
    2020 年 4 巻 s1 号 p. s80-s83
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/09
    ジャーナル オープンアクセス
    J-STAGE Data

    国立国会図書館は、2020年内に公開を予定している「EAST ASIA DIGITAL LIBRARY(EADL)」構築プロジェクトに参画している。EADLは、漢籍など東アジア諸言語で記されたパブリックドメインの書籍等のデジタル化データ(画像データ及びメタデータ等)のコンテンツの検索・閲覧を可能とするポータルサイトである。本プロジェクトは、2010年に国立国会図書館、韓国国立中央図書館及び中国国家図書館との間で締結された「日中韓電子図書館イニシアチブ」の下、3か国共同で開発を進めてきたものであるが、現在は日韓2か国でプロジェクトを進めている。本発表では、機能やコンテンツといった概要の紹介だけでなく、構築に至る背景や構築のプロセス、今後の展望等についても報告する。

  • 川嶌 健一, 長谷部 旭陽, 阿部 拓馬
    2020 年 4 巻 s1 号 p. s84-s87
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/09
    ジャーナル オープンアクセス

    ASEAN地域における文化遺産の保全、域外への発信、および域内における相互理解を目的として、各国における文化遺産の地域横断的な統合デジタルアーカイブ基盤を構築した。このデジタルアーカイブ基盤に求められる要件は、ASEAN域内の様々な文化機関が保有する、多様な文化遺産の、画像、音声動画、3Dモデル等多様なデジタルデータを統合してアーカイブすること、そして、これらのデジタルデータの長期的保存と、ウェブを通じた提供の両立である。本稿では構築したデジタルアーカイブ基盤の特徴と、合わせて実施した文化遺産の電子化およびデジタルアーカイブ基盤への登録、公開について報告する。

講演
  • 黒澤 浩
    2021 年 4 巻 s1 号 p. s88a
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/02/28
    ジャーナル オープンアクセス
    J-STAGE Data

    動的映像にはまだ採掘されていない多くの資料的価値がねむっていると考えられます。その価値の採掘にデジタルアーカイブも積極的に寄与できる可能性があると信じますが、本企画ではこれまでアーカイブを行ってきた現場、その価値を改めて探る現場から、現状の問題と将来の展望について検討・討議をしたいと思います。

    具体的にはアナログ8mmフィルム映像(以下、フィルム)について、1. 触れられる資料展示を特長とする大学博物館でフィルム資料を20年間所蔵してきた現場、2.1. 所蔵フィルムに新たなアプローチからアーカイブ活動をリブートさせようとする現場、3. 地域に眠るフィルムを収集しながら映像製作を通じ開かれた動的映像の活用を試みている現場から、それぞれ報告を上げてもらい、これらの試みが有機的につながる可能性を探ります。

  • 藤岡 洋
    2021 年 4 巻 s1 号 p. s88b
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/02/28
    ジャーナル オープンアクセス
    J-STAGE Data

    動的映像にはまだ採掘されていない多くの資料的価値がねむっていると考えられます。その価値の採掘にデジタルアーカイブも積極的に寄与できる可能性があると信じますが、本企画ではこれまでアーカイブを行ってきた現場、その価値を改めて探る現場から、現状の問題と将来の展望について検討・討議をしたいと思います。

    具体的にはアナログ8mmフィルム映像(以下、フィルム)について、1. 触れられる資料展示を特長とする大学博物館でフィルム資料を20年間所蔵してきた現場、2.1. 所蔵フィルムに新たなアプローチからアーカイブ活動をリブートさせようとする現場、3. 地域に眠るフィルムを収集しながら映像製作を通じ開かれた動的映像の活用を試みている現場から、それぞれ報告を上げてもらい、これらの試みが有機的につながる可能性を探ります。

  • 太下 義之
    2021 年 4 巻 s1 号 p. s88c
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/02/28
    ジャーナル オープンアクセス
    J-STAGE Data

    アートシーンとは、美術館・博物館だけではなく、作品の制作や表現を行うアーティストをはじめ、作品を販売・流通するギャラリーや関連企業、展覧会の企画・開催、コレクションを収集する美術館や博物館、アートを学術的に研究する研究機関や批評・評論家、アート活動を支える財団やパトロン、行政、そして芸術を趣味として楽しむ一般の人など、アートに関わるすべての組織や人々の活動における各々の場面(シーン)である。

    本企画では、アートに関するDAを広義に捉え、情報通信技術がより高度化する現代において、これらのシーンに関する情報流通やデジタルデータの活用とそれらを支える基盤に関する議論を深める。太下氏からは、デジタルアーカイブはどのようにしてアートの振興に貢献するのか、国内外の事例からデジタルアーカイブとアートの現況をご報告頂く。小林氏からは、横浜芸術振興財団が運営する各美術館・博物館のデータを活用した地域情報とミュージアム情報の統合とデータ活用の方法と現状を報告頂く。そして、近年注目を集めているデータ基盤としてブロックチェーン技術を、アート情報のインフラ活用を進めているスタートバーン株式会社の施井氏よりデジタルアーカイブへの活用の可能性について講演を頂く。

  • 河原 大輔
    2021 年 4 巻 s1 号 p. s88d
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/02/28
    ジャーナル オープンアクセス
    J-STAGE Data

    自然史、理工系デジタルアーカイブの現状は人文系に比較して認知度は低いと言わざるを得ない。そのため、学会が編集に協力しているデジタルアーカイブベーシックシリーズの第3巻のテーマになるなど、その現状を明らかにすることが課題になっている。さらに、他分野デジタルアーカイブとの連携協力を図るためにも、この企画セッションにおいて自然史、理工系デジタルアーカイブの現状と課題を多様な分野の方々と検討したい。

  • 玉澤 春史
    2021 年 4 巻 s1 号 p. s88e
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/02/28
    ジャーナル オープンアクセス
    J-STAGE Data

    自然史、理工系デジタルアーカイブの現状は人文系に比較して認知度は低いと言わざるを得ない。そのため、学会が編集に協力しているデジタルアーカイブベーシックシリーズの第3巻のテーマになるなど、その現状を明らかにすることが課題になっている。さらに、他分野デジタルアーカイブとの連携協力を図るためにも、この企画セッションにおいて自然史、理工系デジタルアーカイブの現状と課題を多様な分野の方々と検討したい。

  • 細矢 剛
    2021 年 4 巻 s1 号 p. s88f
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/02/28
    ジャーナル オープンアクセス
    J-STAGE Data

    自然史、理工系デジタルアーカイブの現状は人文系に比較して認知度は低いと言わざるを得ない。そのため、学会が編集に協力しているデジタルアーカイブベーシックシリーズの第3巻のテーマになるなど、その現状を明らかにすることが課題になっている。さらに、他分野デジタルアーカイブとの連携協力を図るためにも、この企画セッションにおいて自然史、理工系デジタルアーカイブの現状と課題を多様な分野の方々と検討したい。

  • 中西 智範, 中村 覚
    2021 年 4 巻 s1 号 p. s88g
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/02/28
    ジャーナル オープンアクセス
    J-STAGE Data

    文化・知識資源を長きにわたり保存する使命をもつ(長期保存、長期利用保証の観点を含む)、図書館をはじめ、博物館・美術館、文書館等は、デジタルデータの保存・管理・活用にあたり、様々な課題に直面している。国内では、MLAなどをキーワードに、利用者サービスの面など、活用に関する連携協力は盛んに議論されるものの、ビットプリザベーションやマイグレーションなど、デジタルアーカイブの基礎となるデジタルデータそのものの保存や管理については、各組織で多くの問題を抱え、個別に対応がなされている状況であろう。2019年3月、このデジタルデータの保存や管理の課題に着目し、図書館・博物館・美術館・文書館などの業務従事者や、有識者で構成されるワーキンググループ『デジタルデータ管理勉強会(仮)』が早稲田大学演劇博物館の呼びかけをきっかけに、活動をスタートした(現在ではおよそ10機関・約20名で構成される)。本企画では、ワーキンググループの立ち上げの経緯やこれまでの活動の中で議論された保存・管理のための議論などを紹介(第一部)するとともに、ヒト・モノ・コストの不足といった組織共通の課題に着目し、今後の展望や連携協力の意義などについて、フロアの参加者を交えながら、シンポジウム形式のディスカッション(第二部)を行う。

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