2021 年 5 巻 1 号 p. 20-24
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大防止に関する国の対応が、公文書管理法に基づき初の「歴史的緊急事態」に指定された(2020年3月10日)。記録の作成・保存が義務づけられたが、医学的見地から政府に助言などを行う感染症対策専門家会議の議事録は作られていなかった。東日本大震災に関連して政府が主催した主要な会議で議事録が作られなかった事態の改善策として2012年6月、公文書管理ガイドラインを改正したことがそもそもの始まりだ。だが、その後に起きた政権交代、第二次安倍政権による特定秘密保護法制定など様々な政治的要因が作用した結果、発言者や発言内容を具体的に記した議事録ではなく議事概要にとどめる運用が横行することになった。