2021 年 5 巻 s1 号 p. s118-s121
1998年から2003年まで、建て替えのために資生堂ギャラリーが閉じられている間にネットワーク上でのサイバーギャラリーとして「資生堂CyGnet」が開催され、7グループの作品が公開された。参加アーティストはEastEdge、朝岡あかね、エキソニモ、ミリッツァ・トミッチ、JODI、doubleNegatives、近森基+下村知央など。当時の展示プログラムやデータは企業には現存しておらず、作家の持つデータやプレスリリースなどの公の資料のみとなってしまっている。1990年代に始まったネットワークによる様々な表示情報のアーカイブは、今後の社会研究においても重要度は増してくるだろう。本論では、「資生堂CyGnet」の展示アーカイブ事業を通して行ったデータ収集や復元作業から、発生したネットワーク作品におけるアーカイブの課題や対応について、実例を交えながら検証を行い。2000年前後のネットワーク作品アーカイブについての課題や今後のネットワーク作品やコンテンツに対する課題に対する提案を行う。