デジタルアーカイブ学会誌
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口頭発表
[53] そろそろ拡大集中許諾制度の議論を始めませんか
城所 岩生
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ジャーナル オープンアクセス

2021 年 5 巻 s1 号 p. s90-s93

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抄録

EUは2019年に「デジタル単一市場における著作権指令」を施行。デジタルコンテンツが域内で自由に流通するデジタル単一市場をめざした指令は、拡大集中許諾制度を採用。集中管理団体が著作権者に代わって著作権を管理する集中許諾制度はメンバーのみが対象だが、これをノンメンバーにも拡大するのが拡大集中許諾制度。利用者は権利者を探し出す手間が省けるため権利者不明の孤児著作物問題の有効な解決策になる。米国でも導入の動きはあったが、グーグルの書籍検索サービスに対する訴訟でフェアユースが認められたため、フェアユースで対応可能とする意見が多く見送られた。欧米とも日本の裁定制度が採用する強制許諾制度については、要件が厳しいためデジタルアーカイブのような大規模デジタル化計画には向かないとして採用せず。韓国ではECLの導入を含む著作権法大改正の動きが具体化している。こうした状況から日本もECLの導入を早急に検討すべきである。

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