デジタルアーカイブ学会誌
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口頭発表
[25] 生成AIによる大量情報デジタル化時代のフェアユース
城所 岩生
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ジャーナル オープンアクセス

2024 年 8 巻 s1 号 p. s31-s34

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抄録

米国著作権法には公正な利用であれば権利者の許諾なしに著作物の利用を認めるフェアユース規定がある。1994年の最高裁判決以来、パロディのように別の作品を作るための変容的利用にはフェアユースが認められてきた。続発する生成AIに関連する著作権侵害訴訟で重要な先例となりそうな事件でも、被告の利用が言語パターンを分析するための変容的利用であるかが争われている。2018年の改正で日本の著作権法に「著作物に表現された思想又は感情を享受しない利用」については許諾なしの利用を認める条文が追加された。文化庁は目的が非享受利用でも享受目的が少しでもあるような利用行為には適用されないとしている。米国は享受目的があっても変容的利用であれば利用を認めるのに対し、日本は非享受目的であっても享受目的が併存する場合には利用を認めないわけである。技術面、資金面で米国勢や中国勢に太刀打ちできない日本の生成AI事業者を法制度面でも縛らないためにも日本版フェアユース規定の導入を提案する。

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https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/deed.ja
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