2025 年 9 巻 s2 号 p. s123-s126
デジタル・ヒューマニティーズ分野において、テキストから知識グラフ(KG)を自動構築し、情報の連携や検索を可能にする研究が進展している。自然言語処理研究の進展によりテキスト内のエンティティの特定や関係性抽出の精度が向上したが、依然として構築された情報の正確性が課題であり、精緻なKG構築のためには対象となるドメインの専門家による監督が必要である。本研究では、専門家と大規模言語モデル(LLM)の協調的なKG拡張手法を提案する。LLMが抽出したエンティティに専門家が注釈文を付与し、LLMが注釈文から関連するエンティティを追加構築する。さらに各構築段階で追加するKGの内容を専門家が修正することで、専門家固有の知識を含むKGを段階的に構築するシステムを実装した。その適用事例として、熊本県宇城市不知火美術館の企画展における、関係性可視化ダイアグラムの制作に関する知見と考察を報告し、今後の博物館等での利用の可能性を示す。