2025 年 9 巻 s2 号 p. s65-s68
本稿は、デジタルアーカイブにおける「インデックス(索引)」概念を、〈主題〉から〈主体〉、そして〈指標〉へと再定義する試みである。主題索引(subject indexing)は、一見客観的な分類技術のように見えるが、その根底には、資料をどのように「読むか」「何についてのものと見るか」という、常に主体的・解釈的な実践としての「主観的索引(subjective indexing)」が潜んでいる。従来のアーカイブは、この主観性を制度化し、標準化することで「客観的な主題アクセス」を実現しようとしてきたが、生成AIを基盤とする対話的検索環境は、利用者個人の文脈や関心に応じた動的なアクセスモデルを実現しつつある。本稿はこの変化を理論的に捉えるために、記号論的「指標性(indexicality)」の観点から、インデックスを静的な「指示」ではなく、利用者の問いを世界に「投錨(anchoring)」する動的な行為として再定義する。そしてこの「生成的指標性(generative indexicality)」を、ポストメタデータ時代の新しいアーカイブの基礎概念として提示する。