抄録
ダム建設にともなう自然改変範囲をできる限り小さく抑えることはダム事業者としての当然の責務であり, その一つの方策として, 近年, ダムサイトにおける掘削法面規模の縮小を目的とした造成アバットメント工をコンクリートダムの端部処理に採用する事例が増えている。造成アバットメント工は, ダム基礎岩盤としては強度の小さい地山にコンクリート〓体を用いて人工の岩盤 (アバットメント) を造成するもので, ダム堤体と同等の安全性が確保されるように設計されなければならない。本論文は, 造成アバットメント工の設計方法を概説するとともに, 有限要素法による応力解析結果等を踏まえ, 造成アバットメント工の力学特性について考察を行ったものである。