抄録
ダム用コンクリート運搬設備は, 面状工法の開発に伴う多様な組合せが考案され新技術を含めて展開されている。その中で, コンクリートの大量運搬に適したベルトコンベヤ工法は, 大規模ダム等の本体コンクリート打設で実施され成果を上げているが, ベルトコンベヤの限界勾配の面から運搬設備の移設, 堤頂部の別運搬設備への切り替え等の課題がある。本研究は, これらの課題を克服して高速施工を図るためのタワー型ベルトコンベヤ方式を提案し, そのシステムを構築するとともに, 実際に施工したフィルダムの洪水吐きコンクリートで運搬・打設の性能や実用性について検証したものである。また, 規模別にモデルダムを想定して本方式と他工法との機械費の比較を行い, 経済性の面から本方式が適用できるダム規模の範囲を推定した。