抄録
小規模ダム(ため池)群の改修の費用対効果とその安定性の最大化を図るべく,これらため池群を一つのポートフォリオと見なして平均分散モデルの適用性を検討した。適用に際しては各超過確率洪水に対する改修事業収益率を超過確率の生起確率換算値と対応させ,この生起確率を一種のシナリオ生起確率と見なし,個別ため池改修事業の期待収益率を内部収益率として算出した。その結果,計画確率年を200年で固定した場合,ため池数が多ければ,シャープレシオ,期待収益率のみからため池群の改修のウェイト付け(もしくは優先順位付け)を行いうることが分かった。