抄録
毎年アオコ・カビ臭障害が発生するため,対応に苦慮していた9ダム貯水池において,曝気循環設備を設置した。その結果,アオコの主な原因種であるミクロキスティスは細胞密度が低下し,アオコ障害は抑制された。しかし,カビ臭の主な原因種であるオシラトリア,フォルミディウムについては,カビ臭障害が見られなくなった貯水池と,そうでない貯水池が見られた。これらの結果から,アオコ障害を抑制するために必要となる曝気循環設備の規模や最適運転パターンを提案するとともに,曝気循環による水質障害抑制とその限界について議論した。