1996 年 6 巻 23 号 p. 29-39
本報告は, 兵庫県南部地震において一庫ダムで観測された地震波形 (以下「一庫波」という) を用いて, 同ダムの耐震性を解析的に検証するため動的解析を行ったものである。検討の結果, (1) 堤体の減衰定数は10%が妥当であること, (2) 入力波の鉛直成分が応力応答に与える影響は小さいこと, (3) 今回の地震に対し一庫ダムの安全性は確保されていたこと, (4) 一庫波および他の既往地震波を用い, 最大加速度を同一として堤体応答を比較した場合, 一庫波において最大の動的応力を生ずること, が明らかとなった。