日本歯科衛生学会雑誌
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原著
高齢者における唾液の性状,咀嚼能力および口腔関連QOLの調査
―継続した歯科受診の有無による比較―
浪花 真子平田 幸音船原 まどか吉野 賢一久保田 浩三
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2023 年 18 巻 1 号 p. 55-62

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抄録

本研究の目的は高齢者に対して唾液検査,咀嚼能力検査,口腔に関するQuality of life(QOL)の調査を行い,継続した歯科受診の有無による比較を行うこと,さらに歯周炎マーカ―と咀嚼能力の関係を明らかにすることである。某大学附属病院口腔保健科にて,歯周治療を受けたのちメインテナンスおよびSupportive Periodontal Therapy(SPT)を2年以上継続受診している高齢者102名を受診群とし,福岡県在住で定期検診のために1年以上歯科を受診していない高齢者30名を非受診群とした。唾液の性状を調べるために,多項目唾液検査システム(AL-55)を使用した。さらに,被験者に主咀嚼側でグミゼリーを20秒間咀嚼させ,咀嚼能力を測定した。その結果,受診群は非受診群と比べて唾液のpHが高く,唾液中のタンパク量が少なく,う蝕と歯周病のリスクが低いことが示された。被験者の口腔関連QOLを調査した結果,受診群は非受診群より口腔関連QOLが高かった。受診群は継続した歯科受診により唾液の性状が良好になり,歯周組織の炎症を抑えられた可能性が示唆された。また,受診群では唾液検査における歯周病リスクの全項目と咀嚼能力に有意な相関は認められなかったが,非受診群では咀嚼能力が高いほど唾液中の潜血,白血球,タンパク質量からみた歯周病リスクの増加が認められた。継続した歯科受診により健康な歯周組織を保ったうえで,現在歯数と咀嚼能力を維持していくことが必要である可能性が示唆された。

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