2012 年 31 巻 1 号 p. 41-46
本研究は市販および試作歯科用セメントの抗菌効果を検討する目的で行った.試作歯科用セメントはテンポラリーパック(GC)にHY剤を10, 20%配合して作製した.比較対照としてHY剤を含まないハイボンドテンポラリーソフトも試作し,細菌はStreptococcus属菌2株とActinomyces属菌1株を使用した.タンニン・フッ化物合剤含有市販歯科用セメントは全てにおいて抗菌効果を示した.また,HY剤を含有した試作歯科用セメントも同様に抗菌効果を示した.しかし,HY剤を含有しない市販歯科用セメントおよび試作セメントは抗菌効果を示さなかった.これらの結果から,HY剤を含有した歯科用セメントを使用することで,窩洞内に存在する齲蝕原性細菌の殺菌効果が期待され,再発性齲蝕予防の可能性が示唆された.