歯科医療において,三次元で顎骨および歯を観察することが求められたが,被曝線量・解像力・装置の大きさなどの問題があった.これを,撮影範囲を高さ3 cm×直径4 cmと限定する小照射野・高解像力歯科用CT装置(以下CBCT)によって解決した.歯科矯正治療では,より広範囲の撮影範囲で,かつ低被曝が求められた.しかしながら,撮影範囲の拡大と低被曝化は相反関係にある.低被曝な条件下でのCBCTであっても,その被曝線量は通常のセファロ撮影の10倍もあり留意が必要である.一方,小照射野から頭部全体を対象とした大照射野の撮影を行える複合機が開発され,一つの装置で,矯正領域に必要なすべての撮影法をカバーすることが可能となっている.今後は,他のデジタル機器を連携し,撮影条件を適切に選択して 医療被曝を最小限に留め,三次元画像情報を生かした画像診断を行うことが最重要と考えられる.