2024 年 43 巻 2 号 p. 67-70
はじめに
工業分野におけるデジタルテクノロジーが歯科領域に導入され,歯科用CAD/CAMシステムにより歯冠修復ならびに義歯装置の設計や製作においても著しく発展し,使用可能な材料も増えている.ジルコニアは1990年代より歯冠修復材料として導入され,2005年に国内での薬事が承認された.また,2014年からCAD/CAM冠用レジンブロックによる小臼歯部の歯冠修復処置が保険収載されたことを始まりとして,大臼歯部,前歯部と順次適用拡大されて,内側性のレジンインレーも導入されてきたことは歯科用CAD/CAMシステムによる歯冠修復処置の選択肢に大きく変革が生じた要因と考えられる.さらに,2023年12月にはPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)材もCAD/CAM冠用材料(Ⅴ)として大臼歯部に保険収載され(表1),全歯部においてノンメタルでの歯冠修復処置が可能となったことは,受診する患者にとって有用であるが,術者側としては材料の選択に迷いを生じているところもある.また,歯冠修復装置を支台歯に接着するシステムそしてレジンセメントも様々な種類が市販されており,この点も術者に混乱を招いていると思われる.今回の特集においては,歯科用CAD/CAM材料の特徴と接着について解説する.