日本歯科理工学会誌
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43 巻, 2 号
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特集「CAD/CAM用材料(コンポジットレジン,ガラスセラミックス,ジルコニア等)の特徴と接着」
  • 二瓶 智太郎
    原稿種別: その他
    2024 年43 巻2 号 p. 67-70
    発行日: 2024/05/25
    公開日: 2024/05/28
    ジャーナル フリー

    はじめに

    工業分野におけるデジタルテクノロジーが歯科領域に導入され,歯科用CAD/CAMシステムにより歯冠修復ならびに義歯装置の設計や製作においても著しく発展し,使用可能な材料も増えている.ジルコニアは1990年代より歯冠修復材料として導入され,2005年に国内での薬事が承認された.また,2014年からCAD/CAM冠用レジンブロックによる小臼歯部の歯冠修復処置が保険収載されたことを始まりとして,大臼歯部,前歯部と順次適用拡大されて,内側性のレジンインレーも導入されてきたことは歯科用CAD/CAMシステムによる歯冠修復処置の選択肢に大きく変革が生じた要因と考えられる.さらに,2023年12月にはPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)材もCAD/CAM冠用材料(Ⅴ)として大臼歯部に保険収載され(表1),全歯部においてノンメタルでの歯冠修復処置が可能となったことは,受診する患者にとって有用であるが,術者側としては材料の選択に迷いを生じているところもある.また,歯冠修復装置を支台歯に接着するシステムそしてレジンセメントも様々な種類が市販されており,この点も術者に混乱を招いていると思われる.今回の特集においては,歯科用CAD/CAM材料の特徴と接着について解説する.

  • 江草 宏
    原稿種別: その他
    2024 年43 巻2 号 p. 71-74
    発行日: 2024/05/25
    公開日: 2024/05/28
    ジャーナル フリー

    はじめに

    ハイブリッドレジンブロックから歯科用CAD/CAMシステムを用い製作するCAD/CAMレジンクラウンは,保険用語で通称『CAD/CAM冠』と呼ばれる.近年,CAD/CAM冠の症例が蓄積されるにつれ,短期的な臨床経過の全体像が明らかになってきた.当初は破折に対する懸念の声が大きかったCAD/CAM冠だが,実際のトラブルは破折よりも脱離の方が圧倒的に多く,クラウン装着後早期に発生する傾向が浮き彫りになった.本稿では,国内外におけるCAD/CAM冠の認識を背景にこれまでの動向を概説し,その臨床成績をわれわれの研究を紹介しながら整理するとともに,今後を展望したい.

  • 大谷 恭史
    原稿種別: その他
    2024 年43 巻2 号 p. 75-78
    発行日: 2024/05/25
    公開日: 2024/05/28
    ジャーナル フリー

    はじめに

    近年の審美修復治療において,二ケイ酸リチウムやジルコニアが従来の長石系セラミックスに取って代わってきている.初期型のジルコニアに比べて高い光透過性を有する二ケイ酸リチウムは,高度な審美性が求められる症例においてジルコニアよりも有利であるとされてきた.しかし,昨今のマテリアルの進化により,初期型と比べて高い光透過性をもつジルコニアが開発され臨床応用されており,これによって審美性に関してはジルコニアと二ケイ酸リチウムの差が小さくなりつつある.高光透過性ジルコニアは,多少強度が低下するといえども,二ケイ酸リチウムよりも高い機械的強度を有する.補綴修復装置のチッピングや破折などのリスク回避のために臨床的に重宝され,すべての症例においてジルコニアを適用する臨床家も少なくない.ジルコニアおよび二ケイ酸リチウムは,どちらかがすべての面で他方より優れているということはなく,同じ審美修復材料であるものの本質的に全く違うマテリアルである.それぞれのマテリアルの特徴を最大限活かすような選択や,適切な扱いをしなければ,機能的かつ審美的な結果を長期的に得ることができず,何らかの早期の失敗が生じる可能性が高くなる.本稿では,ジルコニアと比較した二ケイ酸リチウムの特徴および,その特徴を活かす臨床応用方法について,臨床例を交えながら解説したい.

  • 猪越 正直
    原稿種別: その他
    2024 年43 巻2 号 p. 79-82
    発行日: 2024/05/25
    公開日: 2024/05/28
    ジャーナル フリー

    はじめに

    近年,審美性と強度を両立可能な歯冠補綴用の歯科材料として,ジルコニアが注目されている.ジルコニアはセラミックスであり,生体親和性が高いことに加え,機械的強度も高いことから,単冠やブリッジを製作するための材料として,第一選択になりつつある状況である.筆者も日々の臨床で,ジルコニア製の補綴装置を製作する機会は非常に多い.さらに,最近では前歯部1歯欠損症例に対して,ジルコニア製接着ブリッジを適用するケースも増えつつある.このように,ジルコニア製補綴装置を使用する頻度は非常に高くなってきており,その材料学的性質や装着時の接着方法を理解しておくことは非常に重要である.本稿では,これまで上市されてきたジルコニアの種類の説明と,臨床でのジルコニア製補綴装置の接着手順についてまとめたいと考えている.

  • 髙市 敦士, 加嶋 祐佳
    原稿種別: その他
    2024 年43 巻2 号 p. 83-86
    発行日: 2024/05/25
    公開日: 2024/05/28
    ジャーナル フリー

    はじめに

    粉末床溶融結合法の一つであるSelective Laser Melting(SLM)法は高出力のレーザーを金属粉末に照射し,溶融凝固させた薄い層を積み重ねることで3次元形状を造形する技術(図1)であり,歯科補綴治療では主に冠橋義歯のメタルコーピングや可撤性義歯のメタルフレーム製作に応用されている.金属粉末は主にコバルトクロム合金粉末と純チタンおよびチタン合金粉末が使用されており,以前は海外製品を輸入して使用するしか選択肢がなかったが現在では4種類のCo-Cr合金粉末が薬事承認され国内メーカーで製造販売がされている(表1).2種類の合金の使い分けとしては陶材焼付冠のコーピングには熱膨張係数が調整されているタングステンを含むCo-Cr合金粉末が使用可能である.本稿ではCo-Cr合金粉末を用いてSLM法で製作した冠橋義歯のメタルコーピングと陶材との接着,および可撤性義歯のメタルフレームと床用レジンの接着について詳しく述べる.

小特集「CAD/CAM用ガラス繊維強化レジン」
  • 平山 紀夫
    原稿種別: その他
    2024 年43 巻2 号 p. 87-92
    発行日: 2024/05/25
    公開日: 2024/05/28
    ジャーナル フリー

    はじめに

    複合材料とは,2種以上の素材を混合し組み合わせることで単体の素材では実現できないような性能を付与したり,特性を高めたりした材料である.特に,母材として樹脂,強化材として繊維を組み合わせた繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics,FRP)は,耐食性に優れ,軽量で高強度・高剛性であるなどの特徴から,住宅・建築,スポーツ用具,自動車,航空・宇宙,医療分野など多岐に渡って用途展開されている.しかしながら,私達が日常生活のなかでFRPが持っている優れた特徴を意識することはほとんどない.これは,FRPが規格化された素材として流通しているのではなく,目的に応じて樹脂や強化繊維を組み合わせて所望の特性を持たせるように,利用者が設計して作り上げることができるテーラーメイドの材料であることが主な要因であると思われる.そのため,FRPはその材料設計や成形方法により,非常に幅広い特性と特徴を持つ極めてユニークな材料と言える.今回,一般的なFRPの優れた特性や特徴の解説に加え,その魅力と課題についても紹介する.

  • ─トリニアの特性─
    寺前 充司
    原稿種別: その他
    2024 年43 巻2 号 p. 93-94
    発行日: 2024/05/25
    公開日: 2024/05/28
    ジャーナル フリー

    開発にあたって

    日本国内において,デジタル歯科技術の普及が本格化したのは,21世紀に入りCAD/CAM切削加工によるジルコニア材料の臨床応用が始まったころである.それから四半世紀の時を経て,現在では日常臨床の様々な場面でデジタル技術が活用されている.とりわけクラウン・ブリッジなど歯冠補綴修復の分野では,デジタル技術が積極的に導入されており,材料・機器の双方において目覚ましい発展を遂げてきた.CAD/CAM切削加工用材料に目を向けると,ジルコニア,ハイブリッドレジンにはじまり,金属,PMMA,ワックス,etc.と多種多様な素材が応用されている.直近では高強度エンジニアリングプラスチックのPEEK材がCAD/CAM冠(V)として保険収載され,臨床家の注目を集めている.本稿で紹介する「トリニア」(図1)は,ガラス繊維とエポキシ樹脂よりなるハイブリッド材料である.グラスファイバー材の利点である軽量・高強度に加えて,CAD/CAM切削加工による高精度・品質安定を備えた補綴治療が可能となる.

  • 岩本 孝樹, 加藤 喬大
    原稿種別: その他
    2024 年43 巻2 号 p. 95-96
    発行日: 2024/05/25
    公開日: 2024/05/28
    ジャーナル フリー

    開発にあたって

    近年,金属アレルギーや審美性の観点から,ブリッジでも幅広い部位に適応できるメタルレスの材料が求められており,その選択肢の一つとしてグラスファイバー強化型レジンが応用されている.当社は,グラスファイバー強化型レジンである「KZR-CAD ファイバーブロック フレーム」を発売した(図1).本製品はブリッジのフレーム用材料として優れた特性を有し,CAD/CAM技術で加工することができる.

日本の製品
  • 太田垣 隆
    原稿種別: その他
    2024 年43 巻2 号 p. 97-98
    発行日: 2024/05/25
    公開日: 2024/05/28
    ジャーナル フリー

    開発にあたって

    根管治療は日常臨床で多くの時間を費やしている処置である.日本では年間約600万症例の抜髄処置が行われている一方,まれに抜髄後に残髄に起因すると思われる疼痛が残るケースも報告されている.また,根管系は複雑多岐にわたっており,ファイルや薬剤を用いて化学的・機械的に清掃することが困難な未切削領域が存在することが知られており,その領域にいったん感染が波及すると除去・殺菌することが困難になり,難治性化してしまうこともある.感染源に対して,電気エネルギーを応用した対処ができないか検討され有効な機器としてルートZX3が開発された(図1ルートZX3(根管長測定モジュール+高周波モジュール)).

  • 大原 邦裕
    原稿種別: その他
    2024 年43 巻2 号 p. 99-100
    発行日: 2024/05/25
    公開日: 2024/05/28
    ジャーナル フリー

    開発にあたって

    近年,「根管治療」はニッケルチタンファイル性能の向上,バイオセラミック材料の台頭によって根管治療で使用する材料が再度見直されている.より成功率の高い根管治療を行ううえで特に欠かすことができないのが,「ラバーダム防湿」である.ラバーダムの使用率は日本国内では未だ高くないのが現状である.しかしながら,本来の「細菌感染」を防ぐ目的を果たすためには,コストや時間的制約など考慮すべき課題はあるが「より良い根管治療」を行うためには必要なステップの一つである.当社は,本稿でご紹介する「ディフェンダー ラバーダム&ジェルLC」の他に豊富なラインナップとコストパフォーマンスに優れたニッケルチタンファイル「デントクラフトREファイル(図1)」,根管充塡に使用することを可能にしたバイオセラミック根管充塡用シーラー「バイオシーシーラー(図2)」や,最近では覆髄処置,穿孔部封鎖,逆根管充塡に使用可能な「バイオセラミック材料 バイオシーリペア(図3)」等をご提案している.

  • 水田 悠介, 加藤 喬大
    原稿種別: その他
    2024 年43 巻2 号 p. 101-102
    発行日: 2024/05/25
    公開日: 2024/05/28
    ジャーナル フリー

    開発にあたって

    近年の歯科接着技術の進化は著しく,1ステップ1液型のボンディング材や,さらに発展したユニバーサルアドヒーシブ型のボンディング材のように,高い接着力だけでなく操作の簡略化を実現した製品が発売されている.このようなボンディング材への進化とともに,歯科用エッチング材の使用を省略することが可能となった.この変化は治療の簡易化をもたらしたが,一方でエナメル質のエッチングが不十分になるリスクが高まり,コンポジットレジン充塡箇所のマージン部の着色に関するトラブルの顕在化などが懸念される.また,歯科用エッチング材は歯質の脱灰を前提とした製品であるが,矯正歯科のように健全なエナメル質に対する処置を想定すると,歯質を溶かす量はできる限り少なくすることが理想的である.以上を踏まえると,歯科用エッチング材の設計について再考する余地があると考える.当社では,エナメル質を素早く粗造化し,ボンディング材の接着性を向上させるだけでなく,「歯質を脱灰し過ぎない」という特徴的な歯科用エッチング材の開発を行った.さらに,塗布後は垂れずに適用箇所に留まり,象牙質に付着することによる過脱灰のリスクを低減する設計としたことから,その製品名を「ゼロフローエッチャント」として発売した(図1).

総説
  • 早川 徹
    原稿種別: 総説
    2024 年43 巻2 号 p. 107-112
    発行日: 2024/05/25
    公開日: 2024/05/28
    ジャーナル フリー

    チロシン誘導体モノマーであるメタクリロイルチロシンアミドは歯質接着性に優れ,デンチンプライマーやセルフエッチングプライマーの成分としても有効であった.また,水溶性光増感剤を導入した新規親水性ワンステップ接着材も開発した.

    チタンインプラントの表面改質として,分子プレカーサー法によるアパタイト薄膜コーティング,トレシルクロリド法による細胞接着タンパク質の固定化を行い,良好な骨形成能を得ることができた.ナノ秒パルスレーザ加工やコラーゲンナノファイバー被覆などによる軟組織付着の向上についても評価し,インプラント体に対して垂直に配向する軟組織コラーゲンファイバーの存在を確認できた.ジルコニアインプラントに対する軟組織付着についても検討した.分子プレカーサー法もトレシルクロリド法も,大掛かりな装置や特殊なテクニックを必要とせず,簡便でかつ経済的な表面改質手法であり,今後の発展が期待できる.

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