2024 年 43 巻 2 号 p. 75-78
はじめに
近年の審美修復治療において,二ケイ酸リチウムやジルコニアが従来の長石系セラミックスに取って代わってきている.初期型のジルコニアに比べて高い光透過性を有する二ケイ酸リチウムは,高度な審美性が求められる症例においてジルコニアよりも有利であるとされてきた.しかし,昨今のマテリアルの進化により,初期型と比べて高い光透過性をもつジルコニアが開発され臨床応用されており,これによって審美性に関してはジルコニアと二ケイ酸リチウムの差が小さくなりつつある.高光透過性ジルコニアは,多少強度が低下するといえども,二ケイ酸リチウムよりも高い機械的強度を有する.補綴修復装置のチッピングや破折などのリスク回避のために臨床的に重宝され,すべての症例においてジルコニアを適用する臨床家も少なくない.ジルコニアおよび二ケイ酸リチウムは,どちらかがすべての面で他方より優れているということはなく,同じ審美修復材料であるものの本質的に全く違うマテリアルである.それぞれのマテリアルの特徴を最大限活かすような選択や,適切な扱いをしなければ,機能的かつ審美的な結果を長期的に得ることができず,何らかの早期の失敗が生じる可能性が高くなる.本稿では,ジルコニアと比較した二ケイ酸リチウムの特徴および,その特徴を活かす臨床応用方法について,臨床例を交えながら解説したい.