嚥下障害者にとって水やお茶などの液体は,むせやすく誤嚥しゃすい食品であるが,脱水を予防するためには積極的な水分補給を行う必要がある1-4).液体によるむせや誤嚥を防ぐ方法の1つとして,とろみ調整食品を添加し,液体の物性を変化させる方法がある1,2,4).とろみ調整食品の数は,数十種類にも及び医療従事者や介護者は,何を基準に選んだらよいのか分からない.また,その適正な添加量や物性について検討した報告も少ない.
そこで,現在主流となっている5-8)キサンタンガム系のとろみ調整食品10製品を水に添加し,かたさ,付着性,凝集性を測定し比較した.その結果,製品間で物性が異なった.物性が異なる要因の1つとして,とろみ調整食品溶解時にできるダマの有無が影響する可能性が示唆された.
さらに,とろみ調整食品1種類を用いて,若年者と高齢者を対象に官能評価を行い,飲み込みやすい物性について検討した.その結果,液体にとろみづけを行う場合,とろみ調製食品添加濃度0.5~1.0%前後(かたさ115~128N/m2)に適正な物性が存在することが示唆された.また,25%以上添加すると10製品中7製品以上の製品においてべたつきが気になり飲み込みにくくなる物性(かたさ197N/m2以上)に達した.