2008 年 12 巻 3 号 p. 187-196
【目的】摂食・嚥下障害の評価として嚥下造影(VF)・嚥下内視鏡が汎用されているが放射線被曝や機器がないといった点等で普及しているとは言いがたい.そこで我々は嚥下音を基礎としその波形を画像化し評価するVideo Sound Image法(以下VS)を考案しその臨床応用の可能性を検討した.
【対象・方法】健常成人男性の輪状軟骨気管直下気管外側付近に加速度トランスデューサーを設置し汎用超音波診断装置で波形を表示させデジタル記録し,同時にVF・VSのモニター画像をDVカメラで撮影した.嚥下試料は30%希釈硫酸バリウム液の他,ゼリー,トロミ水,米飯等,各種食物形態を使用した.また,空嚥下・喉頭挙上を保持した嚥下等を行った.VSとVFの画像を比較しながら食塊の位置と波形の出現について検討し,波形の面積Aを持続時間 t で除したA/t,およびその変動係数を求めた.
【結果】VS波形は3つの波形群(Sa,Sb,Sc)が観察され,VS・VFの同時観察によりSaは口腔~喉頭蓋谷,Sbは喉頭蓋谷~食道入口部,Scは食道入口部を通過した直後にほぼ一致して出現していた.波形の由来についてはScは喉頭下降音の一部を成すことが示唆された.A/tについて比較したところ,Sbについてはいずれの食物形態においてもSa・Scよりも大きな値を示した,A/tの変動係数はSa・Scにくらべ,Sbが小さい傾向にあった.
【考察】VS波形には再現性があり,嚥下動態を反映していると思われ,A/tの変動係数を求めることでVS波形の評価が可能になる可能性が示唆された.今後簡便で放射線被曝がない新しい摂食・嚥下障害の評価として期待される.