2009 年 13 巻 2 号 p. 88-106
【目的】本研究は,認定看護師および病棟看護師の摂食・嚥下障害看護の「プロセス」に焦点を当てた質評価指標を開発することを目的とした.
【方法】認定看護師および病棟看護師の摂食・嚥下障害看護質評価指標は,国内外の文献検討と摂食・嚥下リハビリテーションのエキスパート13 名による評価をもとにおのおの76 項目,70 項目が作成された.そして,2006 年および2007 年に登録された認定看護師58 名および認定看護師が所属する病院の看護師1,002 名に対し,認定看護師教育課程修了7 カ月後に,質評価指標についての質問紙調査を郵送法にて実施した.
【結果】1.病棟看護師の質評価指標は,438 名の有効回答から平均値および実施率を求め,その結果から64 項目が選定された.構成概念妥当性を確認するために因子分析(主因子法,プロマックス回転)を行い,6因子「摂食・嚥下機能アセスメント」「退院調整に必要なアセスメント・実施」「リスク管理と摂食・嚥下リハビリテーションの実施」「咽頭期障害に対する摂食・嚥下リハビリテーションの実施」「評価・コーディネート」「リスク管理のアセスメント」が抽出された.内的整合性を示すCronbach's α 係数は,項目全体では0.93 であった.
2.認定看護師の質評価指標は,47 名の有効回答から平均値および実施率を求め,その結果から69 項目が選定された.病棟看護師の質評価指標と共通した52 項目5 因子を除く17 項目について因子分析を行い,2因子「評価・指導・相談・看護チームのコーディネート」「医療チームのコーディネート」が抽出された.質評価指標は,69 項目7 因子で構成され,内的整合性を示すCronbach's α 係数は,項目全体では0.98 であった.
【考察】認定看護師および病棟看護師の質評価指標は,おのおの構成概念妥当性が確認され,信頼性が高い指標であることが示唆された.