日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌
Online ISSN : 2434-2254
Print ISSN : 1343-8441
原著
喉頭マイクロフォンを用いた嚥下回数測定デバイスの開発
─妥当性の検討─
田中 信和野原 幹司小谷 泰子岡崎 浩也松村 雅史阪井 丘芳
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2010 年 14 巻 3 号 p. 229-237

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抄録

【緒言】嚥下頻度の過度の減少は,嚥下に関わる器官の廃用性萎縮を生じ,嚥下機能の低下を助長するといわれている.経口摂取の機会が減少する経管栄養症例や,加齢による影響により嚥下機能が低下した高齢者は嚥下頻度が減少している可能性がある.しかしながら,高齢者や嚥下障害例の日常生活の嚥下頻度を検討した報告はない.そこでわれわれは,行動を制限せず,長時間測定が可能な嚥下回数測定デバイスを開発した.今回,このデバイスの安静時,食事時における妥当性を検討したので報告する.

【対象と方法】測定デバイスは,喉頭マイクロフォンとMP3 レコーダーで構成されている.頸部に装着したマイクロフォンより記録した喉頭の音をもとに,聴覚的判断および音声波形の視覚的判断により,嚥下回数を計測するものである.本デバイスを用いて,以下の2 つの実験を行った.1)健常者1 名の自由に嚥下させたときのVF を記録し,VF で同定された嚥下動作と本デバイスで同定された嚥下音の一致率を求めた.2)本デバイスにて記録した健常者10 名の安静時,食事時の喉頭の音をもとに,2 名の解析担当者A,B が各被験者の嚥下回数を計測した.被験者の自己申告の嚥下回数と,A,B それぞれが判定した嚥下回数との一致率を求めた.

【結果】1)VF と喉頭音から同定された嚥下の一致率は100% であった.2)本デバイスを用いてA,B が判定した回数と,被験者の自己申告による回数との一致率は,安静時でA:97.1±4.3(%),B:98.4±4.0(%),食事時でA:94.9±5.2(%),B:96.2 ± 7.9(%)であった.

【考察】今回の結果から,本デバイスは嚥下回数測定に有効であると考えられた.今後は,このデバイスを用いて,高齢者や嚥下障害例を含むさまざまな症例の日常の嚥下頻度の測定が可能と考えられた.

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© 2010 一般社団法人日本摂食嚥下リハビリテーション学会
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