日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌
Online ISSN : 2434-2254
Print ISSN : 1343-8441
原著
摂食・嚥下障害看護の質向上に及ぼす認定看護師の影響
深田 順子鎌倉 やよい浅田 美江
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2010 年 14 巻 3 号 p. 219-228

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抄録

【目的】病棟看護師による摂食・嚥下障害看護の質向上に対する摂食・嚥下障害看護認定看護師の影響を明らかにすることを目的とした.

【方法】認定看護師および当該認定看護師が所属する病棟看護師を対象に,認定看護師として登録された4 カ月後および1 年4 カ月後に,郵送法による質問紙調査を実施した.調査票には,われわれが開発した摂食・嚥下障害看護質評価指標を用いて5 段階(0~4 点)で評価された.病棟看護師用指標は6 因子64項目で,認定看護師用指標は7 因子69 項目で構成された.分析にはMann-Whitney の検定および重回帰分析を用いた.

【結果】1.病棟看護師用質評価指標の因子を構成する項目の平均得点は,認定看護師導入4 カ月後と比較し,導入1 年4 カ月後では,指標全体,第Ⅱ因子:退院調整に必要なアセスメント・実施,第Ⅲ因子:リスク管理と摂食・リハビリテーションの実施,第Ⅳ因子:咽頭期障害に対する摂食・嚥下リハビリテーションの実施,第Ⅴ因子:評価・コーディネートが有意に上昇した (p<0.05).

2.認定看護師導入1 年4 カ月後における病棟看護師用質評価指標の平均得点は,当該認定看護師の質評価指標合計得点が上位群であると,下位群と比較して,第Ⅱ因子を除くすべての因子において有意に高かった (p<0.05).

3.重回帰分析の結果,認定看護師導入1 年4 カ月後における病棟看護師用質評価指標全体の合計得点に対する有意な影響要因は,順に摂食・嚥下障害看護経験年数,臨床経験年数,認定看護師の質評価指標の合計得点が平均値以上であることの3 要因であった.

【考察】病棟看護師の摂食・嚥下障害看護の質向上には,摂食・嚥下障害看護認定看護師が実践する看護の質が影響することが示唆された.

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© 2010 一般社団法人日本摂食嚥下リハビリテーション学会
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