2011 年 15 巻 1 号 p. 40-48
当科は2004 年6 月1 日に設立され,摂食・嚥下障害患者の外来診療に加え,入院下での集中訓練を開設当初から行っている.今回は,2004 年6 月から2009 年3 月までの入院患者のうち65 歳以上の高齢者を対象に,74 歳以下群と75 歳以上群について集中加療の効果を比較検討したので報告する.
対象症例は,74 歳以下群7 名(平均69.4 歳)と75 歳以上群7 名(平均81.3 歳)の14 名である.調査項目は,年齢,性,嚥下障害の原因疾患,在院日数,罹病期間,嚥下造影検査数,摂食・嚥下リハビリテーションの内容,栄養経路・食形態,摂食エネルギー量(kcal),摂食・嚥下状況のレベルについて検討した.
摂食・嚥下障害の原因疾患は,74 歳以下群では脳血管障害3 名,頭頸部腫瘍術後4 名であり,75 歳以上群では脳血管障害2 名,頭頸部腫瘍術後1 名,その他4 名(認知症2 名,帯状疱疹後神経障害1 名,進行性核上性麻痺1 名)であった.在院日数は,74 歳以下群では平均14.0 日,75 歳以上群は平均13.4 日であった.嚥下障害を発症してから入院までの期間は,最短日数62日で,最長日数は1,329 日(約3年8カ月)であった.入院中に施行した嚥下造影検査回数は平均2.4 回であった.退院時に摂食・嚥下状況のレベルが改善した患者は14 名中10 名(74 歳以下群6 名,75 歳以上群4 名)であった.入院時に比べ,退院時での一日摂取エネルギー量が増加した患者は14 名中9 名(74 歳以下群:3 名,75 歳以上群6 名)であった.以上,入院下での集中訓練の効果が確認された