日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌
Online ISSN : 2434-2254
Print ISSN : 1343-8441
原著
物性調査による嚥下調整食の現状と課題
山縣 誉志江酒井 美由季栢下 淳
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キーワード: 嚥下調整食, 物性, 温度, 水分量
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2012 年 16 巻 2 号 p. 140-147

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抄録

【目的】個々の施設や地域において嚥下食の物性測定を試みた報告はみられるが,広範囲の多施設において嚥下食の物性測定を試みた報告は少ない.本研究では,複数の施設において提供されている嚥下食を物性測定し,嚥下食としてふさわしい物性のものが提供されているか否かを,特別用途食品えん下困難者用食品許可基準にて評価した.

【方法】176 施設の嚥下食計903 種類を試料とし,えん下困難者用食品許可基準の試験方法に準じて,各試料2 つの温度帯にて物性測定を行い,許可基準での評価を行った.

【結果および考察】肉類,魚介類,芋類,検査食では,過半数の試料が許可基準外と評価された.肉類および魚介類では,物性値が温度の影響を受けやすかった.芋類は付着性,検査食は硬さが要因であった.肉類および芋類では,調理の際に加水量を増加させることにより,許可基準内の物性にすることができる可能性が示唆された.

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© 2012 一般社団法人日本摂食嚥下リハビリテーション学会
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