日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌
Online ISSN : 2434-2254
Print ISSN : 1343-8441
短報
嚥下スクリーニング質問紙EAT-10 暫定版の有用性の検討
渡邉 光子沖田 啓子佐藤 新介瀧本 泰生岡本 隆嗣栢下 淳
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2014 年 18 巻 1 号 p. 30-36

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抄録

嚥下障害の問診を効率よく行うため,質問紙が近年使用されている.われわれは,米国で開発された質問紙,10 の質問項目から構成されているEAT-10 原版(Belafsky ら,2008)を翻訳し,EAT-10 日本語暫定版(以下,EAT-10 暫定版)を作成した.EAT-10暫定版が日本人においても使用可能であるか,また原版と同じく合計得点3 点を嚥下障害疑いありと判定することが妥当であるか,を検討した.

対象は回復期リハビリテーション病棟に入院した患者145 名(平均年齢67.8±1.2 歳)で,そのうち医療チームにより,嚥下障害ありと判断されたのは58 名であった.対象患者に,入院2 週間以内にEAT-10 暫定版を実施し,合計得点ごとに敏感度と特異度を算出し,嚥下障害疑いありと判定できるカットオフポイントを検討した.

医療チームにより嚥下障害ありと判断された患者をもとに,原版で使用している3 点以上にてEAT-10暫定版で判定した場合,対象患者は66 名であり,敏感度77.6%,特異度75.9% であった.以上より,EAT-10 暫定版は,原版同様カットオフポイント3 点以上にて,わが国でも使用することが可能であると考えられた.

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© 2014 一般社団法人日本摂食嚥下リハビリテーション学会
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