2014 年 18 巻 2 号 p. 141-149
患者の意欲が嚥下機能改善に関係するか否かを検討した.脳血管疾患で入院した摂食機能療法依頼患者のうち,意思疎通可能で研究参加への同意の得られた39例(男性21例,女性18例)を対象とした.嚥下機能を,Functional Oral Intake Scale(FOIS)を用いてST 介入時および入院30 日目で評価し,嚥下機能改善群,不変・低下群に分類した.意欲評価は,アパシースケール(42 点満点,低スコアが意欲あり)を用いた.嚥下機能レベル改善群は31 例(79%),不変・低下群は8 例(21%)であった.2 群間の入院時の年齢,主疾患,脳卒中既往の有無,ADL,四肢麻痺の有無,JCS,血液検査値に差はなく,絶食期間,ST 介入までの日数,誤嚥性肺炎の有無,うつスコアにも差はみられなかった.入院時のBMI は不変・低下群で有意に高値であり,肥満傾向を示した.ST 介入時の意欲は改善群で有意に高値であった.
ロジスティック回帰分析により抽出された嚥下機能改善に関係する因子は,入院時BMI とST 介入時の意欲であった.摂食機能療法の良否には,患者の意欲が影響する可能性が示唆された.