パーキンソン病(Parkinson’s disease; PD)患者8 名,脳血管疾患(cerebrovascular disease; CVD)患者10 名,骨折者10 名を対象に,疾患ごとに唾液湿潤度(粘膜上水分量)と舌,頬での口腔粘膜水分量(上皮内水分量)に違いがあるかどうかを検討した. 唾液湿潤度は,PD 群では一定の傾向はみられず,CVD 群では増加し,骨折群では減少していた.舌での口腔粘膜水分量は,PD 群で低下し,CVD 群および骨折群では基準値範囲内であった.頬での口腔粘膜水分量は,全例で基準値範囲内であった.唾液湿潤度と舌での口腔粘膜水分量に有意な相関は認められなかった.唾液湿潤度と舌での口腔粘膜水分量は各群で異なる可能性があり,事例ごとに口腔内を観察し対処する必要がある.