2015 年 19 巻 2 号 p. 152-157
咬反射および舌挺出反射のある症例に対し,チューブ嚥下訓練を安全かつ容易に実施するため,既存の吸引補助器具の応用を試みた.症例は57 歳男性,クモ膜下出血にて入院となり,右前頭開頭クリッピング術施行.その後,水頭症,脳梗塞を続発しV-P シャント術を実施したが,意識障害,摂食嚥下障害,四肢体幹運動障害を認めた.嚥下機能の維持・改善を目的にチューブ嚥下訓練を計画したが,強い咬反射と舌挺出反射がみられ実施困難であった.そこで,既存の吸引補助器具を応用してチューブ嚥下訓練を実施したところ,これらの反射を抑えることができ,開口を促すときにはK-Point 刺激が必要なものの安全かつ容易にチューブ嚥下訓練を実施できた.
咬反射と舌挺出反射が強く認められたとしても,既存の吸引補助器具を応用することで,チューブ嚥下訓練を導入しやすくなると考えられた.