日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌
Online ISSN : 2434-2254
Print ISSN : 1343-8441
原著
発達期障害に対する発達期嚥下調整食分類の統一にむけて
―特別支援学校,入所施設,通所施設の実態調査からの課題―
水上 美樹浅野 一恵小城 明子鈴木 崇之曽根 翠弘中 祥司藤谷 順子武原 格
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2016 年 20 巻 2 号 p. 70-79

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抄録

【目的】日本摂食嚥下リハビリテーション学会医療検討委員会内に設置された発達期嚥下調整食特別委員会では,全国で共通する発達期嚥下調整食分類を作成することを目的に,今回は発達期障害児者(以下,発達期障害)の所属する施設,特別支援学校(以下,特支学校)に対して,昼食に関する実態を把握するためにアンケート調査を行った.

【対象と方法】全国の重症心身障害児者の入所施設,通所施設と,東京都と静岡県の分校を除く特支学校の502 施設にアンケートを郵送した.このうち,協力が得られ回答に不備のない318 施設(有効回答率63.3%)を対象とし,アンケート結果を集計して実態把握を行った.

【結果および考察】提供している食形態の区分は,入所施設・通所施設,特支学校ともに多岐にわたっており,嚥下機能に対して細かい対応がなされていることが推察された.しかし,手元調理/ 二次加工(以下,二次加工)は,さらに各区分において行われており,発達期障害に対する食形態の調整は個々の機能に合わせて提供されていることがうかがえた.各区分で使用されている名称は,特支学校と比較して,入所施設,通所施設のほうがさまざまな名称を使用していた.さらに,同一名称であっても,提供されている形態は,入所施設,通所施設,特支学校において異なるものであった.これらのことから,施設,特支学校ともに嚥下調整食を提供しているものの,その名称や物性は統一されていないことがわかった.

【結論】今後,発達期障害に対して,全国で共通する発達期嚥下調整食の分類とその名称を作成するために,今回の全国調査は有用であると考えられる.

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© 2016 一般社団法人日本摂食嚥下リハビリテーション学会
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