日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌
Online ISSN : 2434-2254
Print ISSN : 1343-8441
原著
市販のゲル化剤を用いた造影剤ゲルのテクスチャー特性
上羽 瑠美黒田 明日香臼倉 絵美後藤 多嘉緒佐藤 拓横山 明子兼岡 麻子荻野 亜希子井口 はるひ二藤 隆春山岨 達也
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2018 年 22 巻 2 号 p. 127-135

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抄録

嚥下造影検査(VF)の検査食として,硫酸バリウム( Ba)ゼリー(ゲル)が汎用されている. Baは肺毒性があるという報告もあり,嚥下障害で大量の誤嚥が疑われる患者には,肺毒性の少ないとされる非イオン性ヨード系造影剤(非イオン性造影剤)を使用することも考慮するとよいが,非イオン性造影剤ゲルに関して食品科学的な検証は報告されていない.本研究では,カラギーナン,ペクチン,キサンタンガム─ローカストビンガム合剤( XG-LBG)を含む 3種類の市販ゲル化剤を用いて, 4段階濃度で非イオン性造影剤と Baを添加した造影剤ゲルを作製し,ゲル化剤の種類や使用量によるテクスチャー特性を測定した.さらに,求めたテクスチャー特性より,嚥下食ピラミッドを参考値として該当する嚥下調整食コードを推定し,比較検証した. カラギーナン製剤ではゲル化剤濃度により,非イオン性造影剤でコード 0j, 1j, 3に, Baでコード 0j, 2, 3に相当するゲルとなった.ペクチン製剤ではゲル化剤濃度により,非イオン性造影剤でコード 0j, 1j, 2に, Baでは硬さの変化が少なくコード 0jまたは 1jとなった. XG-LBG製剤ではゲル化剤濃度により硬さが増加し凝集性が低下する傾向を認め,非イオン性造影剤と Baともにコード 1j, 2, 3となった. 非イオン性造影剤ゲルでも VF検査用の造影剤ゲルが作製可能であった. Baゲルの物性をペクチン製剤で調整することは難しいが,非イオン性造影剤ゲルはすべてのゲル化剤で物性調節が可能であった.嚥下調整食コードに対応する検査食の作製においては,目的に応じてゲル化剤と造影剤を選択する必要があると考えられた.

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© 2018 一般社団法人日本摂食嚥下リハビリテーション学会
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